独身者と違い、結婚している者は配偶者を養う義務が生じます。
そのため結婚している者には負担がよりのしかかるので、それを軽減しようとする配偶者控除が設けられています。
配偶者控除とは 控除の対象となる配偶者の範囲と配偶者控除額について紹介します。
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配偶者控除とは
配偶者控除とは、基本的に配偶者に収入がないことが前提になりますが。
現実的に全く収入がない主婦なり主夫はほとんどいないでしょう。
そこで、実情に合わせて合計所得が38万円(70歳以上の配偶者なら48万円)以下なら控除対象配偶者として認められています。
もちろん次の要件がすべて満たされていることが条件となります。
1)納税者の配偶者で生計を一にする人
2)配偶者の年間合計所得金額(年収より給与所得控除額65万円を引いた額)が38万円(70歳以上の配偶者なら48万円)以下である人
3)青色事業専従者、事業専従者でない人
*青色事業専従者とは、青色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、年間6ヶ月以上その事業にもっぱら従事している者
*事業専従者とは、青色申告・白色申告を行う個人事業主と生計を一にする配偶者や15歳以上の親族で、年間6ヶ月以上その事業にもっぱら従事している者
控除の対象となる配偶者の範囲
法律に基づく婚姻届は出さずに事実上の結婚生活を送っている場合を事実婚といいます。
最近では昔に比べよくみられるようになり、認知度も上がってきています。
一部の法律では、婚姻届けを出している法律婚のカップルと同じ権利や義務を持つようになってきています。
事実婚は「お互いに婚姻の意志を持っている」ということなので、特別な手続きをすることなく済まされています。
ただ、縛られたくないとか、届け出の必要がないとかいう理由で選んだ事実婚には、所得税や住民税の配偶者控除などは認められていないのがデメリットの1つであります。
法律に基づく婚姻届けを出している場合にのみ配偶者控除の対象になります。
配偶者控除額について
平成30年分より、控除対象配偶者(70歳未満)または老人控除対象配偶者(70歳以上)のいる納税者本人について適用される所得税の配偶者控除の額は以下の表のようになります。
納税者本人の合計所得金額 | 控除対象配偶者の配偶者控除額 | 老人控除対象配偶者の配偶者控除額 |
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900<≦950万円 | 26万円 | 32万円 |
950<≦1000万円 | 13万円 | 16万円 |
1000万円< | 0 | 0 |
納税者本人の合計所得金額が1000万円を超える場合には配偶者控除の適用はなくなりました。
平成30年より納税者本人の合計所得金額により控除額が決まることになりました。
合計所得金額から給与収入の目安を算出すると、上記表の合計所得金額900万円は給与収入1120万円、同950万円は1170万円、同1000万円は1220万円となります。
個人住民税についても平成31年分以降、控除額が異なる以下のような改正が行われます。
納税者本人の合計所得金額 | 控除対象配偶者の配偶者控除額 | 老人控除対象配偶者の配偶者控除額 |
900万円以下 | 33万円 | 38万円 |
900<≦950万円 | 22万円 | 26万円 |
950<≦1000万円 | 11万円 | 13万円 |
1000万円< | 0 | 0 |
*合計所得金額の求め方
1)まず以下の1.2.を合計します。
1.事業所得、不動産所得、利子所得、給与所得、総合課税の配当所得・短期譲渡所得および雑所得の合計額(損益通算後の金額)。
2.総合課税の長期譲渡所得と一時所得の合計額(損益通算後の金額)の2分の1。
2)上記の金額に退職所得金額、山林所得金額を加算します。
3)申告分離課税の所得があるときには、特別控除前の所得金額の合計額を上記2)に加算します。
4)繰越控除を受けているときは、その適用前の金額となります。
まとめ
配偶者控除は法律上の婚姻関係にある配偶者を対象にしています。配偶者の合計所得金額や年齢により決められているものですが、納税者の合計所得金額によっても控除額が変化し、1000万円を超える合計所得金額がある納税者の場合は配偶者控除の適用はありません。
そして配偶者控除の他に配偶者特別控除というものがあります。配偶者特別控除は配偶者の合計所得金額の変化に応じて段階的に調節するよう設けられたものです。
配偶者の合計所得金額が変わるといきなり0になるなどの不自然さを是正するためにあります。
その配偶者特別控除にも改正が行われています。