日本の社交の場において、昔は、ゴルフというものは幅をきかせていました。
それは接待として、仕事の1つとしてとらえられていたことからでしたが、今では、昔ほどではなく個人のスポーツとしての色合いが濃くなってきています。
そしてゴルフ会員権の扱いも変わってきています。
ゴルフ会員権を売ったときにかかる税金とその計算法、売却損の処理について紹介します。
Contents
ゴルフ会員権を売ったときにかかる税金
ゴルフ会員権には、特定の会社の株主になることによってのみ会員となることができるものと、それ以外の会員権とがあります。
これらの会員権を売ったときは、どちらでも譲渡所得として給与所得など他の所得と合わせて総合課税の対象になります。
総合課税の対象となる所得には、他には雑所得、一時所得、配当所得(選択した場合)、事業所得、不動産所得があります。
不動産や株等の譲渡所得は別に分離課税で税金を徴収されることになります。
その会員権の保有期間により譲渡所得が区別されています。
所有期間が5年以内のものは短期譲渡所得です。
所有期間が5年を超えるのものは長期譲渡所得です。
不動産の譲渡所得のように長期譲渡所得の方が優遇されています。
その計算法
ゴルフ会員権の譲渡所得の計算法は
ゴルフ会員権の譲渡による収入金額から、その会員権の取得費と譲渡のために直接要した経費(譲渡費用)との合計額を控除した金額から、譲渡所得の特別控除額(50万円を限度)を控除し、さらに長期譲渡所得の場合にはその2分の1が課税される譲渡所得金額になります。
(特別控除額はその年の総合課税される譲渡益すべてに対しての50万円になります、これらの譲渡益の合計額が50万円に満たない場合にはその金額までしか控除されません。)
取得費
ゴルフ会員権を取得するのに要した経費のことです。
原則として、ゴルフ倶楽部の会員になるために支出した費用などで
1)ゴルフ倶楽部への入会に当たって支出した入会金、預託金、株式払込金
2)第三者から会員権を取得した場合の購入価額、名義書換料、会員権業者に支払う手数料
3)会員権を取得するために借り入れた借入金の利子のうち、そのゴルフ場がオープンして自身が使う権利を得るときまでの期間にかかるもの。
があります。
ゴルフ会員権を相続などにより取得し、その取得費がわからないときなどというときには、そのゴルフ会員権の譲渡収入金額の5%相当額、
または実際の取得費がその5%相当額に満たない場合は5%相当額とすることができます。
譲渡費用
譲渡のために直接要した経費、仲介手数料などのことです。
*ゴルフ会員権の年会費は会員権を保有することに伴う維持管理費用なので、取得費や譲渡費用には含まれません。
それぞれの課税される譲渡所得金額とは
短期譲渡所得(保有期間5年以内)
譲渡所得金額=譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円
長期譲渡所得(保有期間5年超)
譲渡所得金額={譲渡収入金額-(取得費+譲渡費用)-50万円}x1/2
という計算になります。
これらのどちらかを他の総合課税の所得と合算して累進課税制度で計算されます。
平成27年以降の所得税額表
課税所得金額(A) | 所得税率(B) | 控除額(C) |
≦195万円 | 5% | 0 |
195<≦330万円 | 10% | 9.75万円 |
330<≦695万円 | 20% | 42.75万円 |
695<≦900万円 | 23% | 63.6万円 |
900<≦1800万円 | 33% | 153.6万円 |
1800<≦4000万円 | 40% | 279.6万円 |
4000万円< | 45% | 479.6万円 |
*(Z)所得税額=(A)x(B)-(C)
例:課税所得金額(A)が200万円のとき所得税率(B)は10%で控除額(C)は9.75万円である。すなわち所得税額は200x0.1-9.75=10.25万円
売却損の処理は
平成26年3月31日まではゴルフ会員権を売却した場合に損失がでたら他の総合課税の所得と損益通算ができましたが、平成26年4月1日より損益通算はできなくなりました。
これは、ゴルフ会員権が「生活に通常必要でない資産」として位置づけられたことによるものです。
ゴルフは日本では接待の道具としてよく使われていました、仕事の道具とすれば経費と考えられなくもないですが、こと生活の場においては不必要なものなのでしょう。
時代の移り変わりを感じますね。
まとめ
ゴルフ会員権を売った時の税金を計算するには取得費や譲渡費用が必要になります。そしてその会員権の保有期間に応じて課税所得が計算され、他の給与所得などの総合課税の対象のものと合算され累進課税制度により計算されます。
平成26年4月1日より、譲渡損が生じた場合に、他の総合課税のものと損益通算ができなくなりました。
これは、ゴルフ会員権が「生活に通常必要でない資産」と認められたことによるものです。