高齢者になって定年を迎えて以後も健康で元気なら問題ないですが、
身体が不自由になったりして住まいのあちこちが不便になり、住宅改修をしなければならなくなることがあります。
自己資金が潤沢にない場合は、介護保険などで助成制度があると聞いています。
介護保険での住宅改修、支給対象となるものとその範囲について解説します。
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介護保険での住宅改修
介護保険制度では、夫婦のどちらかが要支援、または要介護の認定を受けていれば、改修費用の80~90%が保険から支払われることになります。
(被保険者本人(第1号被保険者(65歳以上))の合計所得が160万円以上で、同一世帯の第1号被保険者(65歳以上)の「年金収入+その他の合計所得金額」の合計が、1人で280万円以上、2人で346万円以上の場合が20%自己負担になります)
また、介護保険とは別に市町村などの地方自治体が独自に助成制度を設けている場合もあるので、それぞれの地方自治体の高齢者担当窓口(介護保険課など)に問い合わせることも必要です。
住宅改修を行う前に、保険給付の対象として適当な住宅改修であることを確認するために、事前申請をする必要があります。
事前申請をしていなければ給付がされないことがあるので要注意です。
(例外で「やむを得ない事情がある場合」入院または入所者が退院または退所後に住宅での生活を行うため、あらかじめ住宅改修に着工する必要がある場合など、住宅改修を行おうとするときに申請を行うことが制度上困難な場合の時は事後の申請が認められます。)
住宅改修を介護保険で支払うには、理由書を作成してもらう都合上、ケアマネージャーなどに相談するのがベストと思われます。
市町村などの介護保険課などに提出する事前申請に必要な以下の書類を作成し提出します。(各市町村などによっては多少の違いがあることもあるので確認してください。)
1.住宅改修費事前確認及び支給申請書
2.住宅改修が必要な理由書(ケアマネージャーなどが作成します。)
3.見積書(被保険者本人あてのもの。コピー可。)
4.住宅改修後の完成予定の状態がわかるもの。
*改修箇所の工事前の写真
*住宅の平面図
などそれぞれの自治体で指定のものがありますから準備します。
5.住宅改修の承諾書(住宅の所有者が被保険者本人以外の場合に必要です。)
6.委任状(被保険者本人以外の口座へ振込を希望する場合必要です。)
以上の書類を介護保険課などに提出すると、介護保険課などで事前申請書類を確認し、不備がなければ、各自治体で決められた必要な手順をふんで、住宅改修に着工できます。
もし、住宅改修の着工後に、施行箇所や材料などに変更が生じた場合は、改修工事を中断し、介護保険課などへ連絡する必要があります。(見積書、現場写真などの再提出が必要になる場合もあります。)
連絡なく改修内容を変更された場合は、住宅改修費は支給されなくなる場合もありますので、ご注意ください。
無事に工事が完了した場合には、工事終了後領収書などの費用発生の事実がわかるような書類(事後申請書類として)を介護保険課などへ提出します。
例えば以下のような書類があります。(細かい取り決めは自治体によりまちまちです。)
1.住宅改修に要した費用に係る領収書
2.工事費内訳書
3.住宅改修の完成後の状態を確認できる書類(改修箇所ごとに改修前及び改修後それぞれの写真とし、原則として撮影日がわかるもの。)
4.住宅の所有者の承諾書(住宅の所有者が被保険者本人以外の場合)
介護保険課などで事後申請書類を審査し、不備がなければ、それぞれ自治体の手順で住宅改修費が振込まれます。
自治体によりいろいろなやり方があるようです、ご確認ください。
例えば:一旦、被保険者本人が全額支払い、後で80~90%が償還される場合や、
被保険者本人が10~20%のみを支払い、保険給付分(90~80%)は工事業者に介護保険から直接支払う場合などがあります。
支給対象となるもの
対象者
要支援1・2、要介護1~5と認定され、在宅で生活されている者
*要介護認定申請中
認定申請中に、事前申請し、住宅改修はできますが、支給は該当すると判明した場合、事後にされます。
*病院や施設に入院(入所)中
退院(退所)が決まっていれば、入院(入所)中に、事前申請し、住宅改修ができますが、住宅改修費は退院(退所)した場合に、事後に支給されます。
対象となる住宅
要支援1・2、要介護1~5と認定された方が居住している住宅。
ただし、被保険者証に記載されている住所の住宅であること。
*住宅の新築や増改築には使えません。
利用限度額
支払われる改修費用の上限は20万円ですから実際の支給額の上限は16~18万円となります。
(所得が多い場合は16万円まで、上記参照)
(20万円分を数回に分けて利用することもできます)
20万円を超える部分は全額自己負担になります。
住宅を転居したり、「介護の必要の程度」の段階が3段階以上重くなった場合(A)は、再度20万円まで利用することができます。
そうでない場合は、通常は20万円は1回までになります。
(A)の場合(初めて住宅改修した時の要介護区分⇒次回できる要介護区分:以下のいずれかの場合)
要支援1または経過的要介護⇒要介護3、要介護4、要介護5
要支援2または要介護1⇒要介護4、要介護5
要介護2⇒要介護5
範囲について
それでは、実際の住宅改修の範囲について、どのようなことができるのかを以下に示します。
1)手すりの取り付け
廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から道路までの通路などへの手すりの取り付け。
2)段差の解消
スロープを設置する工事、敷居の撤去、浴室の床のかさ上げ、など
3)滑りを防いだり移動を円滑にしたりなどのための床または通路面の材料の変更
居室における畳から板製床材への変更
浴室やトイレにおける滑りにくい床材への変更など
4)引き戸などへの扉の取替え
開き戸を引き戸、折戸、アコーディオンカーテンなどに変更
扉の撤去、ドアノブの変更、戸車の設置など
5)洋式便器などへの便器の取替え
和式便器を洋式便器へ変更(変更する洋式便器のオプションは問わない、洗浄機能や暖房機能付でもOK)
ただし、洋式便器をオプション付きの洋式便器には変更できない。
6)その他1)から5)の工事に付帯して必要となる工事
手すりの取り付けのための壁の補強工事
浴室の床の段差解消に伴う給排水設備工事など
まとめ
高齢化社会に突入しているので、所得による2割(20%)負担の条件が加えられました。
まあ、経済的な余裕があればいいのですけどね。