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非居住者の所得税や住民税の課税について 税率や計算はどうなる

 

 

グローバル化が進んでいる現在において、これから海外で生活する日本人も増えていくことでしょう。

 

そのため、どういう場合に日本の居住者になり非居住者になるのかを知っておくことは重要でしょう。

 

日本の非居住者と居住者の線引きの助けになるような情報や、所得税や住民税の情報を提供します。

 

Contents

非居住者とは

 

日本の非居住者の判定は、日本の国内法による区分と租税条約による区分により、なされることになります。

 

 

大筋では日本の国内法でどう判断されるかですが、

 

 

移住先や赴任先などの国がどこであるかにより、

 

租税条約があるかどうかと、

 

どういう取り決めを租税条約でなされているかにより、

 

非居住者の判定とその後の扱われ方が違ってきます。

 

 

日本の国内法すなわち所得税法では、「居住者」を、国内に「住所」を持ち、または、今まで引き続き1年以上「居所」を持っている個人のことと定義しています。

 

ゆえに、「非居住者」は「居住者」以外の個人としています。

 

非居住者を決定づけるには、「住所」と「居所」が重要なカギになります。

 

「住所」の概念は民法上のものからきています。

 

住所は、その人の生活の中心「個人の生活の本拠」がどこであるかで見極められます。

 

住所を見極めるには客観的な事実が重要であるとされています。

 

つまりは、

 

1)住居はどこなのか

どこで暮らしているのか?

 

2)主な職業はどこでしているのか

生計を立てるメインとなる職業はどこでしているのか?

 

3)生計を一にする配偶者その他親族がいるかどうかとどこにいるか

生計を一にしている配偶者その他親族がいるところが生活の本拠である場合が多い。

 

4)資産はどこに主に置かれているか

あまり重要視されないが、参考にされることもある。

 

5)国籍はどこか

これも、それほど重要視されませんが、参考にされる。

 

などが考慮されますが、1)2)3)あたりが重要視されるようです。

 

特に、2)は要注意です。

 

賃貸契約、職務内容などから「住所を推定」することになります。

 

 

 

「居所」は個人の生活の本拠ではないが、その人が実際に居住している場所とされています。

 

その居所が引き続き1年以上居住しているものなのかどうかです。

 

 

 

租税条約の区分では、

 

日本の租税条約はOECD加盟国など多くの国と地域との間で結ばれています。

 

相手国との間で租税条約を結んでいれば、その内容に左右されることになります。

 

それぞれの国で違う内容ですからその都度確認が必要になります。

 

例えば、その国で課税が免除されるかどうかを決める183日ルールについては、

 

暦年(1月1日~12月31日)ごとに判定する国:

イスラエル
イタリア
インドネシア
カナダ
スイス
スウェーデン
スペイン
タイ(183日ではなく180日)
トルコ
フィリピン
フィンランド
ブラジル
ブルガリア
ベトナム
ベルギー
ポーランド
ルーマニア
ルクセンブルグ
韓国
中国

 

 

課税年度(所得税計算における期間)ごとに判定する国:

アイルランド
エジプト
バングラデッシュ

 

 

連続する12ヶ月間で判定する国:

アイスランド
オーストラリア
オーストリア
オランダ
サウジアラビア
シンガポール
チリ
ドイツ
ニュージーランド
ノルウェー
フランス
ポルトガル
メキシコ
ロシア
米国
香港

 

 

その他

インド

(課税年度中にインドで182日を超えて滞在してる場合、課税年度中はインドで60日以上滞在し、かつ当該課税年度前の4年間でインドで365日以上滞在している場合、報酬がインド国内の恒久的施設による場合、報酬がインド国内の居住者から支給されている場合、以上いずれかの場合は課税される。)

マレーシア

(課税年度中にマレーシアで就労したのが60日を超え、かつ、マレーシアでの滞在が183日を超え報酬の支払いがマレーシア居住者によるものなら課税される。)

英国

(課税年度中に英国で過ごした日数が183日以上の場合、または主たる住居を英国内に91日以上保有し、課税年度中にその住居で過ごした日数が30日以上の場合、英国で課税される。)

 

 

の4種ありますから注意が必要です。

 

米国では連続して200日滞在期間がある所得は米国で課税し、

 

中国では中国での所得で連続した期間が200日でも暦年ごとには100日ずつだったら中国では課税が免除されます。

 

国内法のこと租税条約のことすべてを精査したうえで、妥当なのは、居住者か非居住者かどちらであるかが判定されます。

 

1年以上勤務する必要のある職業があることが重要視されるようです。

 

参考記事⇒非居住者の区分とは いつからでどう判定されるの 租税条約がある場合はどうなる?

 

所得税や住民税について

 

海外移住して住民票を抜いて1月1日時点で日本に住所が無ければ、住民税は免除になります。

 

これははっきりしていますね。

 

ただ、日本では、所得税の場合は「非居住者」であるかどうかが重要になります。

 

国内法である所得税法上の「居住者」なのか「非居住者」なのかですね。

 

「非居住者」なら日本国内で発生した所得には課税されますが、日本国外で発生した所得には課税されません。

 

「居住者」は日本国内で発生した所得は言うまでもなく、日本国外で発生した所得でも日本に持ち込まれた(送金や現金所持にて)ものなら課税されます。

 

 

日本では属地主義を採用しているので、自国内という地域に着目して課税されます。

 

どこに居住しているかが重要になります。

 

ただ、日本の非居住者であっても日本国内で発生した所得については属人主義により国内での課税として補完しています。

 

米国は属人主義なので、どこに住んでいようが米国国籍なら課税されます。

 

ですが一部属地主義を採用している面もあります。

 

米国に住んでいれば米国国籍でない人でも米国で発生する所得に課税しています。

 

課税のされかた

 

住民税は1月1日時点で住民票上の住所が日本に無ければ、非課税になります。

 

 

所得税については、

 

居住者の国内源泉所得はルールどおりに課税され国外源泉所得は日本に持ち込まれた(送金や現金所持にて)ものに対してのみ課税されます。

 

非居住者の国外源泉所得は非課税で、国内源泉所得の場合は恒久的施設を有していてその恒久的な施設から生まれる所得なのかどうかにより課税のされかたが違ってきます。

 

 

国内源泉所得の扱いとして、

 

非居住者が居住者と違う場合

 

*事業所得は国内に恒久的な施設を持っていない場合は非課税です。

 

*組合契約事業利益(任意組合等の組合事業による)の配分は国内に恒久的な施設を持っていない場合は非課税です。

 

*国内に恒久的な施設を持っていないまたは国内に恒久的な施設を持っていても国内事業からのものでない以下のものは源泉分離課税となる。

源泉分離課税の利率

利率
利子等 15%
配当等 20%
貸付金利子 20%
使用料等 20%
給与・報酬・公的年金・退職手当等 20%
事業の広告宣伝のための賞金 20%
生命保険契約に基づく年金等 20%
定期預金の給与補てん金等 15%
匿名組合契約に基づく利益の配分 20%

まとめ

 

非居住者の要件は、海外で過ごさなければならない職業を持っていることが重要だと思われます。

 

生活の拠点がどこにあるか、つまりはそこで暮らしているのだと納得できる状況が必要でしょう。

 

基本的には、日本の非居住者になれば所得税は免除されますが、あと居住している外国との租税条約がある場合はその内容がどうであるかで、所得税の課税の仕方が決定されます。

 

住民税は1月1日の住民票の住所が日本に無ければ日本での課税は免除されます。

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