広告の世界では、景品表示法や健康増進法と並んで重要視されているものに、薬機法というものがあります。
リアルでもネットでも広告するには良く知っておかなければなりません。
薬機法とはどういうもので、健康食品などを宣伝するにあたり知っておくべきことについて紹介します。
Contents
薬機法とは
薬機法と言って、ピンとくる人はそれほどいないかもしれない。
薬事法なら知ってるよという人は多いでしょう。
薬機法は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」のことで、
2014年11月25日に薬事法から名称変更されている。
医薬品の「薬」と医療機器の「機」から、薬機法となったのです。
薬機法は、「医薬品」「医薬部外品」「化粧品」「医療機器」「再生医療等製品」について安全性と、体への有効性を確保するための法律として認識しておきましょう。
薬機法の第八章で医薬品等の公告について示されています。
その中で、誇大広告等について第六十六条で示されているのですが、
「何人も」、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、または流布してはならない。
「何人も」ということは製造、販売事業者、媒体社などであろうが、個人であろうが会社であろうがということです。
広告主、アフェリエイター、ASPなども対象になりますよ、
例外は認めませんと言っています。
また、
2 医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、流布することは、前項に該当するものとする。(要するに、ダメだということ)
3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品又は医療機器に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。
とも記されているので遵守する必要があります。
どこどこのお偉い先生が言ってるよなんて言えないし、わいせつなものはそもそも使ってはいけないと肝に銘じておきましょう。
次に、特定疾患用の医薬品の広告の制限いついては第六十七条で示されています。
政令で定めるがんその他の特殊疾病に使用されることが目的とされている医薬品であって、医師又は歯科医師の指導のもとに使用されるのでなければ危害を生ずるおそれが特に大きいものについては、政令で、医薬品を指定し、その医薬品に関する広告につき、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告方法を制限する等、当該医薬品の適正な使用の確保のために必要な措置を定めることができる。
2 厚生労働大臣は、前項に規定する特殊疾病を定める政令について、その制定又は改廃に関する閣議を求めるには、あらかじめ、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。
ただし、薬事・食品衛生審議会が軽微な事項と認めるものについては、この限りではない。
つまりは、特定疾患用の医薬品の広告はもっと厳しいものだということです。
次に、承認前の医薬品等の広告の禁止いついて第六十八条で示されています。
何人も、第十四条第一項又は第二十三条の二第一項に規定する・・・・・・・・の規定による認証を受けていないものについて、その名称、製造方法、効能、効果又は性能に関する広告をしてはならない。
認証前は一切の広告が禁止ですよということです。
ここで、この対象となる「広告」について、どういうものかを説明します。
広告の該当性で示されています。
*無承認医薬品で名称の一部を伏せて表示する等の場合でも同じです。
1.顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること。
2.特定の商品名が明らかにされていること。
3.一般人が認知できる状態であること。
この3つが満たされて広告とされることになります。
1.顧客を誘引する意図が明確である とは、
記事で直接あるいはリンク先で販売ページなどに行くことができ、その商品を購入させるという意図があるものを言います。
その記事からリンクで販売ページなどへたどる(何ページにわたっても)ことができると確認され、その記事が商品の販売につながることで報酬が得られる場合は広告とみなされます。
2.特定の商品名が明らかにされていること とは、
記事などの中で商品名が明示されていること。
3.一般人が認知できる状態であること とは、
会員制サイト等でIDとパスワードでしかログインできない場合等でも、誰でも登録等さえすればログインできて見ることができるなら一般人が認知できる状態とみなします。
一般に開放されているかどうかではなく、努力すれば見ることができるなら、認知できる状態であるとされます。
化粧品を宣伝するには
化粧品は薬機法の対象に含まれるので、「薬機法」を遵守しなければならない。
・化粧品として標榜可能な56の効能効果を示すようにして、くれぐれも誇大広告にならないようにする。
(医薬部外品の場合は承認された効果を示すことは可能)
標榜可能な56の効能効果とは、「頭皮・毛髪についての16項目」「皮膚についての22項目」「香りについての1項目」「爪についての3項目」「唇についての7項目」「オーラルケアについての7項目」があります。
詳しくはこちら⇒化粧品の効能の範囲の改正について
・全成分を表示するなどして、決められた成分を表示しなければならない。
・効能効果・安全性の保証はできない。
・医師、美容師など医薬関係者による推薦表現はできません。
・図面、写真などは、承認等外の効能効果等を思わせるもの、効果発現までの時間及び効果持続時間の保証となるもの又は安全性の保証表現となるものは認められない。
使用前、使用後の図面、写真などはOKになった。(もちろん嘘はだめです)
・効能効果や安全性に関する、臨床データや実験例等を使用することはできない。
・体験談だからといって何を書いてもいいわけではない。
・他社製品に対して誹謗広告となるような表現はできない。
・アンチエイジング表現については要注意。
「アンチエイジング」「お肌の若さを保ちます」「エイジングケアで若さは再び戻ります」などはNGです。
「エイジフリーなあなたへ」「エイジングケア に (エイジングケアの定義を明確にする)」はOKです。
例えば:エイジングケア*に *年齢を重ねた肌に、うるおいを与えること など
・「シワ」についてはメーキャップ効果による「シワをカバーする」「乾燥による小ジワを目立たなくする」以外は使えない。
(医薬部外品の化粧品の一部には「シワを改善する」という効能効果が認められているので、よく製品を確認してから「シワを改善する」というものを使うこと)
・浸透表現については、肌への浸透は「角質層(角層)」まで、髪への浸透は「毛髪」の範囲までの表現にとどめること。
(肌内部へ浸透には但し書きで、近くに角質層内と明記すること)
・「美白・シミ」表現についてはメーキャップ効果により肌を白くみせる効果に基づく表現が可能。
医薬部外品の化粧品で承認されているものだけ以下の表現が使えます。(製品を確認すること)
「メラニンの生成を抑え、シミ、ソバカスを防ぐ(日焼けを起こしにくい)」「日焼けによる、シミ、ソバカスを防ぐ」など、承認を受けた範囲で。
・「美白・ホワイトニング」に関しては、メーキャップ効果により肌を白くみせるもののみ可能。
・「シミ・ソバカス」は日焼けにから防ぐもののみ表現可能で、化粧品に物理的な遮断効果または紫外線防止剤を含むもののみ標榜可能。
健康食品・雑貨を宣伝するには
2015年以降、食品には大きく分けて、保健機能食品と一般食品に分けられ、保健機能食品には、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品があるとされています。
健康食品とは食品の1つとみなされます。
健康食品とは、あくまでも栄養成分を補給し、又は、普通の食品よりも健康に良いとしか言えません。
どんな宣伝が良いのかですが。
・栄養補給目的であることを述べる。
スポーツする方の栄養補給におすすめ など
・生体の構成成分であることを述べる。(体の一部の構成成分はNG:骨の・・・などはNG)
***は身体の重要な構成成分です など
・現状維持及び大きく解釈できる表現
健康維持、健康増進、美容、キレイ など
・抽象的な表現にする(どうともとれる言葉を使用し生活シーンにならめる等)
ハリのある毎日に、スムーズな生活のために、艶めくあなたにおすすめ など
健康食品・雑貨はそもそも医薬品・医療機器ではないので、医薬品・医療機器などをイメージさせることをしてはいけない。
・効能効果を示すのはNGである。
糖尿病の予防、高血圧の改善、生活習慣病の予防、動脈硬化の人に、胃・十二指腸潰瘍の予防、
動脈硬化を防ぐ、花粉症の時期に、肝障害・腎障害をなおす、緑内障の治療に、ガンがよくなる、便秘がなおる、
疲労回復、体力増強、精力回復、食欲増進、老化防止、学力向上、回春、健胃整腸、病中病後、
血液を浄化する、風邪を引きにくい体にする、抗酸化作用、肝機能向上、細胞の活性化、自然治癒力が増す、
消化吸収を増す、内分泌機能を盛んにする、新陳代謝を高める、体内に蓄積された脂肪等の分解 などがあたります。
・医薬品にしか使えない成分を使うのもNGである。
まちがっても表示しないでくださいね。
・用法用量、形状など医薬品を暗示させるものもNGである。
1日3回1回1錠を飲んでくださいとか
1日3錠で3ヶ月で***になります。
の表現は医薬品を暗示させますね。
もちろん医療機器をイメージさせるものも注意しましょう。
まとめ
行きすぎた広告が消費者の利益を阻害することが目に余るようになれば、より厳しくなることも考えられます。
決められた法律を理解し、ルールにのっとった広告をすることを心がけたいですね。