味覚の秋、食欲の秋、グルメなら自然の中で新鮮なきのこを自分でとってきて味わいたいと思いますよね。
近所からおすそ分けでとりたてのきのこをもらえば、うれしくてすぐ食べたくなるものですが。
ちょっと待ってください。
そのきのこ、食べられるの?毒があるんじゃないの?大丈夫?
日本ではきのこは昔から良く食べられていて、最近でも健康志向のゆえに人気の食材になっていますが、おそらく素人が野山でとってきたものが原因で年間あるていどの食中毒が起きているようです。
そういうことが起きないように、願いを込めて、
きのこの見分け方とか、どこに聞けばいいのか、最近の食中毒の現状について紹介します。
Contents
きのこの食毒を見分けるには
気軽に自分の手で新鮮な旬のきのこをとってきて、食べられれば最高ですが。
こときのこの鑑別には、ありとあらゆる迷信が存在しており。
素人では難しいように思います。
そんな迷信をいくつかあげてみます。
1)毒きのこは毒々しい派手な色をしている。
食べられるものも食べられないものにもありますから、無関係です。残念!
2)柄が縦にさけるきのこは食べられる。
毒きのこもさけます、食べられるきのこでさけないものもある。残念!
3)毒きのこを茄子と煮ると食べられる。
きのこの毒を中和できる食材はありませんし、沸騰するお湯程度では分解されません。残念!
4)塩漬けにして水にさらせばどんな毒きのこでも食べられる。
塩漬けして水にさらしても、残る毒があります。残念!
5)かじってみて変な味がしなければ大丈夫。
挑戦者ですね、お~こわ~!テングタケ類は致死的毒をもっているものでも、最初は大変美味に感じられるものがある。残念!!
6)ナメクジや虫が食べてるきのこは食べられる。
そんなことはありません。残念!
7)いい匂いがすれば食べられる。
毒きのこでもいい匂いがするものがあります。残念!
8)きのこの煮汁で銀のスプーンなどが黒ずめば毒きのこ。
そうとは限りません。残念!
きのこの専門家によれば、これらのことはほとんど根拠がなくて、単なる迷信に過ぎないと言われています。
そして、専門家でも見分けがつかないこともよくあることなので、
「1種類ずつしっかり確実に覚える」しかないそうです。
ちゃんとした図鑑を通して、また有識者(各地の林業試験場,博物館などの専門家のいるところ)のもとでしっかり学習するのが
見分け方を学ぶ最善の道です。
広くきのこに関して、食べられるものばかりではなく、毒のあるものや、毒はないが食用にも適さないものまで広く知識を深めたり。
どんな林に,どんな季節に,どんなきのこが出るか学習することも大切です。
(きのこは季節や産地によって成分の差が激しくなることも知っておきましょう。)
そうすれば,毒きのこの見分け方はおのずとわかってくると言われています。
また、きのこの見分け方の学習は、生で覚えると効果的なので機会があればできるだけ各地の観察会などに参加するとよいでしょう。
きのこは、地域、生える場所、気温や天候などにより、大きくその姿を変えるので、常にきのこを観察しているベテランの方でも間違える場合があるということです。
中途半端にいろいろ知って、変な自信がついてまちがいをおこさないようにしてくださいね。
きのこ狩りをする場合、まず、おいしくて見つけやすく、初心者でも見分けやすい種類だけをよくおぼえて、それだけを探すようにしましょう。
わかりにくいものはパスです。
そして、経験豊富なベテランに、必ず同行してもらうことですね。新鮮なうちに、直接手に取って確認してもらいましょう。
また、きのこは採ったあとの持ち帰りかたにも注意しましょう。(後で鑑別してもらう場合に影響するかもしれませんし、調理などがしやすくなります)
よく土をはらって、壊れないように新聞紙などにつつんで、同じ種類で分別した上で大きなカゴや紙袋に入れて持ち帰りましょう。
(ビニール袋は使わないようにしましょう、きのこが蒸れますから。)
どこに聞けばいい?
時折、近所に自称「きのこ名人」なる人がいることがありますが。
経歴とかがはっきりしてて、それなりの経験があるような有識者であればいいんですが。
そうでないときは、ちょっと待ってください。
頼るのは危険すぎるかもしれません、食べて苦しむのはあなたですから、苦しむだけで済めばいいですが、死んじゃったりすれば笑い話では済まないですから。
賢いと思えるお医者さんで聞こうとする人がいらっしゃいますが、よほどでない限りきのこのことは知らないでしょう、いくらお医者さんでも診療のこと以外は難しいでしょう。
まあ、聞くとすれば、保健所がいいかな。(公的機関は責任を持って調べてくれるでしょう。)
それと本業できのこを扱っている専門家、林業試験場のきのこの専門家や博物館のきのこの専門家などでしょうか。
保健所などに依頼してもすぐには結果がわからないので(数日かかるかも)、焦って食べることのないようにしてくださいね、自分の身は自分で守りましょう。
食中毒の現状について
野生のきのこを取ってきて食べる場合の注意点(これは他の食材にも言えることです)
食べ過ぎないようにする。
できるだけ生では食べない。
時間が経って古くなれば食べない。
体調が悪いときには食べない。
以前食べて調子が良くなかったものは避ける。(体質に合わないかな?)
もし、取ってきたきのこが食べられるものであっても食べ方の注意を怠ると食中毒になることもあります。
そういう面でのケアもしておいてくださいね。
1年にどれくらいの食中毒の件数があるのでしょうか。
人により症状の程度が違うことがありそうなので、実際は食べてたのに、ちょっとおかしいなとか思うくらいで医者にも行かない場合もあるでしょう。もしかしたら実際の報告よりも多いかもしれませんね。
まあ、データーがないと大まかなことが言えないので公的機関のデーターを参考にします。
厚生労働省の食中毒統計によれば、きのこによる食中毒は2011年から2015年までに年間24~57件報告されています。(患者数は85~166人)
期間としては、やはり9月と10月に多いようですね。
都道府県で見れば、山形、新潟、滋賀、京都、山梨、埼玉に多いようです。(保健所への届け出による集計です)
2016年の状況は、
きのこによる食中毒42件、患者数110人だったようです。
都道府県別では
都道府県名 | 食中毒件数 | 患者数 |
北海道 | 5 | 12 |
青森県 | 1 | 2 |
岩手県 | 2 | 2 |
宮城県 | 1 | 2 |
秋田県 | 1 | 4 |
山形県 | 7 | 18 |
福島県 | 3 | 4 |
茨城県 | 3 | 10 |
栃木県 | 1 | 4 |
群馬県 | 1 | 3 |
新潟県 | 7 | 20 |
石川県 | 1 | 3 |
滋賀県 | 1 | 2 |
大阪府 | 1 | 2 |
兵庫県 | 3 | 5 |
鳥取県 | 1 | 2 |
岡山県 | 2 | 3 |
広島県 | 1 | 12 |
月別では
期間 | 食中毒件数 | 患者数 |
8月 | 1 | 4 |
9月 | 8 | 16 |
10月 | 27 | 76 |
11月 | 6 | 14 |
2016年は年間で42件。
期間はやはり9月と10月が多めです。(秋が旬だからね)
都道府県で見れば、北海道、山形、新潟で多かったようです。
これらの情報から言えることは
きのこの食中毒は年間に数十件あり、
期間としては9月10月に多い傾向がある。
ということですか、
9月10月に多い傾向は、近くに山などがあるところで、
旬の時期に野山でとって、おいしいきのこが食べたいと思う人が多いからでしょう。
旬でない他の季節はスーパーにたくさん並んでいる栽培ものを食べるので、素性の知れたきのこが出回ることになりますから、
中毒なんて起こらないのでしょうね、起これば死活問題ですからね。
都道府県別では2016年が少し違うデーターが出たので
参考と言うことにします。
最近、注意喚起されているきのこが2種あります。
*カエンタケ
カエンタケは赤やオレンジ色しています。ブナやナラなどの木に手の指がはえているように発生します。
毒性が非常に強く、触るだけでも皮膚が炎症を起こし、食べると死亡する危険性があります。
*スギヒラタケ
スギヒラタケは8月~10月ごろ、松や杉などの切株や倒木に、扇形の白いきのこが重なってはえています。
かつては食用として認知されていましたが、近年、スギヒラタケを食べたことが原因とみられる急性脳症の事例がたくさん報告されています。
詳細はまだわかっていないですが、安全のためスギヒラタケは食べないようにしておきましょう。
<主な毒きのこ>
カエンタケ
カキシメジ
クサウラベニタケ
シロタマゴテングタケ
スギヒラタケ
タマゴタケモドキ
ツキヨタケ
テングタケ
ドクササコ
ドクツルタケ
ドクヤマドリ
ニガクリダケ
ニセショウロ
ネズミシメジ
ハイイロシメジ
ヒカゲシビレタケ
ヒメアジロガサ
ベニテングタケ
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まとめ
秋になると、美味しいきのこが食べられると思い、旬の新鮮なきのこを野山にとりに出かけると思いますが、食べられるきのこと食べられないきのこの識別は意外と難しそうです。シメジに良く似た毒きのこもあるようなのでよくよく確認しないとだめですね。
しっかりした専門知識と長い間きのこを識別する経験を持った人に頼るのならいいのですが、自称名人などを信じて中毒を起こすことにならないようにしてください。
現実的な話としては、保健所に鑑定してもらうのが一番簡単で手っ取り早くて安心かなと思います。