セルフメディケーション税制を申請するには 医療費控除との違いは
セルフメディケーション税制については、
「セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)は、健康の維持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行う個人が、平成29年1月1日以降に、スイッチOTC医薬品(要指導医薬品及び一般用医薬品のうち、医療用から転用された医薬品)を購入した際に、その購入費用について所得控除を受けることができるものです。」という風に厚労省のHPに書かれています。世界保健機構(WHO)におけるセルフメディケーションは「自分自身の健康に責任を持ち、軽度な身体の不調は自分で手当てすること」とされているように、健康に対する自己管理をしている個人に対し減税をもたらすことによりその行為を推進する狙いがあるのでしょう。
この制度は当面は5年間(平成33年12月31日まで)の施行予定であることも踏まえて、この制度がどういう場合に適用されるのか、従来の医療費控除との関係はどうなのかについて見てみたいと思います。
Contents
セルフメディケーション税制対象医薬品の使用
この制度を使用するには対象医薬品の使用が必須です。
平成29年1月13日時点で83成分のスイッチOTC医薬品が対象となっている、実際に製品があるのは70成分くらいで総品目数は1601のようである(平成29年2月14日時点)主な薬効としては、かぜ薬、胃腸薬、鼻炎用内服薬、水虫・たむし用薬、肩こり・腰痛・関節痛の貼付薬があるが全てが対象にはなっていない。
その製品を覚えるのは大変だから、実際に製品を手にすればわかるようになっている。上記の薬効の例より目星をつけた上で、その製品のパッケージのどこかにセルフメディケーション税控除対象という以下のようなマークが印刷されていたりシールがついているのを確認します。
有名なものでは、パブロン、ロキソニン、ガスター、ルル、ボルタレン、ベンザ、ブテナロック、フェイタスなどですね。でも、ちゃんとマークがついているか確認しましょう。成分が含まれているということで意外なものにも対象マークがついていることがありますから。
そして重要なのが「控除対象」マークのついたレシートを保管することです。年末まで大切に保管しましょう。
レシートの内容は1)商品名、2)金額、3)対象商品であるとの明記、4)販売店名、5)購入日が記入されていることが必要です。
健康の維持増進及び疾病の予防への取組の証明
この制度を利用する条件には、さらに健康管理の意志を示す必要があるということです。
その方法ですが、
特定健診・・・生活習慣病予防のための健診
予防接種・・・インフルエンザなど
定期健診・・・一般健診など
がん検診
などでどれか1つを受ける必要があり、健診などでは、氏名、受診した年月日、保険者の市区町村の名称などが記載されている結果通知表のコピーや、予防接種では氏名、受診した年月日、保険者などの記載がある領収書のコピーの保管が必要になります、大事にとっておきましょう。
従来の医療費控除かセルフメディケーション税制かどちらかを選択する
年末まで待って、どちらか有利な方を選択することになります、両方はできません。
セルフメディケーション税制分は上記の対象スイッチOTC医薬品の購入額に対してのみ控除が受けられます。
年額で12,000円を超えた部分に対し控除になるのですが、上限があり10万円まで、つまりは控除対象額は最大で88,000円になります。
仮に10万円以上購入した場合に課税所得400万円の人は、所得税率20%なので、所得税から17,600円、住民税(一律10%)から8,800円が戻り、合計26,400円が戻ってきます。
かたや、医療費控除は、病院などの診察代、治療費、薬代、交通費など、治療にかかった費用の全てが控除対象になります。
ただ、年間で10万円を超える分に対しての控除(年間所得200万円未満の場合は所得合計の5%を超えた分)なので、どちらが有利かはわからないですよね。
だから、どちらを選ぶかは年末の合計額で決めるしかないですね。
例えば、年間所得200万円の人でセルフメディケーションで使える領収書が6万円分、病院などに支払った領収書が6万円分あった場合、
セルフメディケーションで申請すると48,000円(60,000-12,000)が控除対象になり、医療費控除で申請すると20,000万円(120,000-100,000)が控除対象になる。
この場合はセルフメディケーションが有利ということになる。(注意点はセルフメディケーション税制分は医療費控除の対象にもなること)
もしこれが、年間所得100万円の人だとしたら、同じ条件では、
セルフメディケーションで申請すると48,000円(60,000-12,000)が控除対象になり、医療費控除で申請すると70,000万円(120,000-50,000)が控除対象になる。
この場合は医療費控除が有利になります。
まとめ
年を追うごとに医療費高騰が健康保険財政に重くのしかかりつつありますが、必要な医療はどうしても確保しなければ、国民の健康を保証できないでしょう。
そんな中、国も改善に努力するので、国民にも協力してほしいと、こういう税制を考えだして自己管理の意識を持つように導いたのでしょう。ただ、平成33年までの予定なのでそれまでに整備ができると思っているのか、お試し期間なのかは不明ですが。本気でするつもりなら、期限を設けずにしてほしかったですね。
この制度には、特に医院や病院にかからずとも自己で対応できる軽微なことは自己で責任を持って手当して、人的にも不足気味で疲弊している医療の場に余分な負担をかけないようにとの願いもあるのかもしれません。
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