退職すると健康保険がなくなるので、病気やけがで働けなくなった場合に生活を保障してくれていた傷病手当ももらえなくなると思ってしまいますが。
実は、ある条件をクリアすれば、会社を退職してからも傷病手当はもらえるようです。
退職後も傷病手当金をもらうには、その要件と注意すべき点について紹介します。
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傷病手当金を退職後ももらうには
病気などで退職を考えていて、退職後に傷病手当金の申請をして受給したいと思っている人がいると思います。
退職後に傷病手当金の申請を行うことができないわけではないのですが、会社の協力も必要であるために面倒かとは思います。
とりあえず、在職中に傷病手当金をもらっていれば、退職日以降の傷病手当金(継続給付)の支給申請は本人が直接行えます。
要は、この場合は「事業主記入欄」の記入が不要になりますし、賃金台帳や出勤簿のコピーなども不要だからです。
その分面倒ではなくなりますね。
在職時に傷病手当金をもらっていない場合は、初回の申請は会社の協力が必要になります。
その申請は、協会けんぽの場合は、場合によって会社を経由せず、ある程度は本人がすることも可能ですが、事業主記入欄に証明(会社印)をもらう必要があります。
(協会けんぽの場合は1年以上同じところで働いていれば、賃金台帳や出勤簿のコピーなどが不要になるからです。)
初回の申請さえクリアできれば、後の2回目以降の支給申請には事業主記入欄に記入が不要になり、本人が直接行えます。
そして、退職後に傷病手当金を申請することができるのは退職して2年を経過する前まで可能です。
条件をクリアしていれば、いつでも申請は可能になります。
その要件
支給してもらう要件としては以下があります。
1)退職日以前に健康保険に1年間の加入期間があること。
在職してる会社での健康保険の直近の加入期間が1年未満の場合でも、その前に1日の空きもなく同じ健康保険に別の会社で加入していて、結果的に同じ健康保険に継続して1年以上加入できていればOKです。
継続して同じ健康保険に加入しているということが重要です。(健康保険協会と健康保険組合は通算することができます)
2)退職日の前日までに病気やけがで仕事ができなくて休んでいる日が連続して3日以上あること。
待期期間と呼ばれる3日間連続で会社を休む期間が必要になります。
待期期間は有給・公休(土日祝などの休み)・欠勤のいずれでもカウントできますが、その期間は傷病手当は支給されません。
3)退職日に傷病手当金を受給している、または受給できる状態であること。
退職日に出勤できると、「就業可能」とみなされ退職後の傷病手当金の支給要件に該当しなくなります。
退職日は「欠勤」つまり、傷病手当金を受給している、あるいは「有給」つまり、給与の方が傷病手当金を上回るので傷病手当金は支給されませんが、会社を休んでいるので「受給できる状態」に該当します。
ですので、退職日は「欠勤」か「有給」扱いである必要があります。
この3つが必要ですので、確認しておきましょう。
通常は任意継続被保険者は傷病手当金を受け取ることができませんが、上記の条件に該当する場合は傷病手当金を受け取ることができます。
注意すべき点について
退職してからも傷病手当金をもらうには、以下のことに注意すべきです。
上記にも書いていますが、退職前の健康保険の加入期間をよく確認しておきましょう。
1日でも1年の間に未加入の時期があれば、1年未満になってしまい申請ができなくなりますからね。
会社をいくつか転職していても、例えばA社に10年間、B社に3ヶ月、C社に6ヶ月でC社で退職する場合でも、同じ健康保険に途切れずに加入していれば、退職後の申請は可能になります。(健康保険協会と健康保険組合は通算することができます)
また、退職日を含んだ在職最後の4日間(有給休暇でも公休日でもいい)は会社に行っていないことが必要です。
「就業可能」でないことを示さないといけないので、当然ですよね。
また、出産手当金を受給すると出産手当金が優先されて傷病手当金は受け取れなくなります。(傷病手当金が出産手当金よりも多い場合は、その差額も支給されます)
それから、傷病手当金を受け取る権利が消滅するのは、退職後2年を経過したときですので、注意しておきましょう。
なので、できれば早い目に申請することをおすすめします。
まとめ
退職してからでも、条件さえ満たせば、傷病手当金は継続して受取れたり、申請して受取れたりします。
条件を満たしていても、傷病手当金を受け取るための申請ができるのは退職してから2年を経過する前までですから気を付けましょう。
他にも社会保険のセーフティーネットがいろいろありますから、最善なものを選択し、それらと連携して有効活用しましょう。