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株の配当を受け取る 有利な課税方法の選択とその詳細について

 

 

株式投資をしていると、譲渡益や優待の他に配当が得られることがあります。

 

企業が利益を出した時に、その利益の一部を株主に還元してくれるので、その株式を保有するだけで、一定のお金が配当として受け取ることができます。

 

株の配当を受け取る、有利な課税方法の選択とその詳細について紹介します。

 

 

Contents

株の配当を受け取る

 

株式を発行している会社が、株数に応じて一定の金額を分配してくれることを配当といいます。

 

会社が儲かっているときは増額してくれたり、赤字のときなどは減額されたりすることがあります。

 

その配当にも、株を売買して得られた譲渡益と同じように税金がかかります。

 

 

平成21年より、上場株式等の配当所得について申告分離課税が選択できるようになりました。

 

この場合、もし上場株式等の売買で損がでていれば、上場株式等の譲渡損失と配当所得との間の損益通算が可能になります。

 

この場合は確定申告が必要になりますが。

 

 

全ての投資家が確定申告をするようになり、確定申告の処理が大変になったため、証券会社が投資家に代わって株式の売買損益を出したり、税務署に提出してくれたりする制度ができました。

 

平成22年以降にできた「特定口座」という制度です。

 

この制度には「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」があり、「源泉徴収あり」を選べば確定申告が不要になり。

 

ほぼ何もしなくて良いことになります。

 

 

この制度は、発行済み株式総数の3%以上(平成23年10月より)を保有している大口株主と非上場株式等については適用されないので、従来通りの総合課税での確定申告が必要になります。

参考記事⇒株の配当を受け取る 大口株主と非上場株式の場合とその課税処理について

 

有利な課税方法の選択

 

配当金に課税される税金は、以下の3つの納税方法から選ぶことが可能です。

 

 

1)特定口座による源泉徴収

 

特定口座に入れられた株の配当所得の金額に所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%が課税されることになります。

*復興特別所得税は25年1月より25年間課税されます。

 

 

2)申告分離課税制度

 

この場合は配当所得は他の所得と分けて処理されますが、株の譲渡損があるときには、それと損益通算が可能になります。

 

一年で譲渡損の分がすべて控除できなければ最大3年にわたって控除(繰越控除)が可能になります。

 

所得があるなら、その金額に所得税15%、復興特別所得税0.315%、住民税5%の合計20.315%が課税されることになります。

*復興特別所得税は25年1月より25年間課税されます。

 

 

3)総合課税制度

 

配当所得が他の所得と合計され、控除額を差し引いた後、累進課税制度により税額が算出されます。

 

配当所得を含めた課税総所得金額を以下の所得税額表に当てはめて計算式*(Z)により算出します。

 

平成27年以降の所得税額表

課税所得金額(A) 所得税率(B) 控除額(C)
≦195万円 5% 0
195<≦330万円 10% 9.75万円
330<≦695万円 20% 42.75万円
695<≦900万円 23% 63.6万円
900<≦1800万円 33% 153.6万円
1800<≦4000万円 40% 279.6万円
4000万円< 45% 479.6万円

*(Z)所得税額=(A)x(B)-(C)

例:課税所得金額(A)が200万円のとき所得税率(B)は10%で控除額(C)は9.75万円である。すなわち所得税額は200x0.1-9.75=10.25万円

この所得税額より配当控除が差し引かれ、実際の課税額になります。

 

 

この場合のどれが有利なのかは、トータルの所得金額(配当所得を含む)がいくらであるかで決まることになります。

 

1)も 2)も配当所得にかかる税率は20.315%になります。

 

3)の場合は総所得金額で税率が変わりますので、その税率と配当控除の税率でどのへんの総所得金額なら20.315%より高いのか低いのかがわかれます。

 

もちろん、株式譲渡損が出ている場合は、それとの損益通算ができるのは1)と 2)の場合だけなので、

 

株式譲渡損>配当所得の場合は、繰越控除が可能な2)になりますし、

 

株式譲渡損<配当所得の場合は、確定申告がいらない1)となるでしょう。

 

その詳細について

 

訂正2018/2/24

実際の総合課税を判断する課税総所得金額ですが1281万円がボーダーラインになります。

 

課税総所得金額が1281万円の時、累進課税制度により所得税は33%、復興特別所得税は0.693%、住民税は10%、ただ配当控除が1000万円までは10%(所得税)、2.8%(住民税)と1000万円超は5%(所得税)、1.4%(住民税)がありますから。(*日本株と日本株ETFでの配当控除)

1281万円の20.315%は約260.23515万円(特定口座や分離課税の場合)

総合課税の場合は、

1000万円までの分 1000x(33-10+0.693+10-2.8)/100=308.93

残りの281万円分 281x(33-5+0.693+10-1.4)/100=104.79333

控除額(C)153.6

総計:308.93+104.79333-153.6=260.12333万円

で総合課税の方が少し安い。

 

同じように課税総所得金額が1282万円の時、

1282万円の20.315%は約260.4383万円(特定口座や分離課税の場合)

総合課税の場合は、

1000万円までの分 1000x(33-10+0.693+10-2.8)/100=308.93

残りの282万円分 282x(33-5+0.693+10-1.4)/100=105.16626

控除額(C)153.6

総計:308.93+105.16626ー153.6=260.49626万円

で総合課税の方が少し高い。

 

なので1281万円を超えると特定口座や分離課税(20.315%)よりも多くとられることになります。

(現状、平成49年(2037年)まで設定されている復興特別所得税は所得税の税率の2.1%とされています、15x0.021=0.315、33x0.021=0.693)

(住民税の均等割りは双方同じなので省きました)

 

配当控除については以下を参考にしてください。

参考記事⇒株の配当を受け取る 大口株主と非上場株式の場合とその課税処理について

参考記事⇒上場株式等の配当控除について、それぞれの配当控除率、日本株ETFとは

以上のことより、

株式の譲渡損が配当所得よりも多いときは、申告分離課税制度を選択し繰越控除を適用。

 

それ以外のときは、

 

課税総所得金額が1281万円以下のときは総合課税制度を選択。

 

課税総所得金額が1282万円以上のときは特定口座制度(源泉徴収あり)を選択。

 

のようにすることがよろしいかと思います。

 

ただ、各種の社会保険制度においては申告された住民税の所得が用いられるため、は社会保険制度への影響を考慮するともっと安い金額から特定口座で処理すべきでした。

 

平成29年度(2017年)より所得税と住民税で課税方法を異なるものにできることが明確化されたので、住民税を申告不要制度で処理すれば5%課税になるので、所得税は1521万円までなら総合課税で配当控除を使えば有利になりました。

参考記事⇒上場株式等の配当および譲渡所得等で、有利な課税方式を所得税や住民税で自由に選択できるようになってます。2017年度税制改正より。





 

 

まとめ

 

上場株式の配当を受け取る場合は、ご自身の課税総所得金額(配当所得を含む)と上場株式の譲渡損が配当所得に比べてどうなのかで判断するようにしましょう。

 

上場株式の配当所得が譲渡損よりも少ない場合は、繰越控除ができる申告分離課税制度を使うことを考慮しましょう。

 

ただ、社会保険制度のこともあるので、申告分離課税は所得税だけにして、住民税は申告不要制度を用いましょう。

 

平成29年度(2017年)より所得税と住民税で課税方法を異なるものにできることが明確化されたので、住民税を申告不要制度で処理すれば5%課税になるので、もっと所得税は高い金額まで総合課税でいけます。

 

計算すれば所得税は1521万円までなら総合課税で配当控除を使うのが有利になります。

 

1522万円以上なら申告不要制度を用いましょう。

 

 

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参考記事⇒積立NISAとは 対象となる投資商品はなにがある 普通のNISAとの差は

参考記事⇒ジュニアNISAとは 口座開設するメリットとデメリットについて

参考記事⇒上場株式の譲渡損失があるとき 申告すべき場合と必要がない場合とは

参考記事⇒株式の相続 第三位の相続人しか残っていない場合 その時の注意点について

参考記事⇒マイナス金利下での株主優待について考えると(例:マクドナルドについて)

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