景品表示法とは その目的と違反した場合はどうなるのか?
ここ数年ネットでも広告のありかたが問題視されています。
特に2017年頃からは詐欺被害などに遭う人が増えてきていて、テレビなどでも特集が組まれるまでになっています。
ネットだけに限定するわけではなく、実店舗での販売も含めて被害者を保護する取り組みがなされています。
そのような被害を減らすために作られた景品表示法というものがあります。
景品表示法とは、その目的と違反した場合はどうなるのかについて紹介します。
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景品表示法とは
景品表示法とは、景表法とも呼ばれますが、正式には、不当景品類及び不当表示法(昭和37年法律第134号)といいます。
消費者は誰でも、より良いもの(商品)やサービスを求めています。
売る方はというと、実際のものやサービスより、より良く見せる傾向がありますよね。
そのために、表示を水増ししたり、誇大なものにしたり、誤解を与える表示をしたり、過大な景品付き販売が行われたりします。
すると、消費者はそれらにつられて、質の良くないものやサービスを買ってしまい不利益を被るおそれがあります。
景品表示法は、もの(商品)やサービスの品質、内容、価格などを偽って表示を行うことを厳しく規制するとともに、
過大な景品類の提供を防ぐために景品類の最高額を制限するなどにより、
消費者のみなさんがより良いもの(商品)やサービスを自主的かつ合理的に選べる環境を守るためにあります。
<景表法の表示の規制>
景表法の第2条第4項に書かれています。
この法律では「表示」とは、顧客を誘引するための手段として、
事業者が自己の供給する商品または役務の内容または取引条件その他これらの取引に関する事項について行う広告その他の表示であって、
内閣総理大臣が指定するものをいう。
規制対象になるのは事業者であり、
その事業者は商品・サービスを供給するメーカーや小売業者・卸売業者のことを差します。
そして表示の決定に関与した事業者であることが必要で、他者に表示を委託していても関与しているとみなされます。
規制の対象であるかどうかは、故意や過失の有無によりません、つまりは知らなかったでは済まされません。
広告以外に内閣総理大臣が指定したもの(時代の流れに応じて指定)は、
1.容器・包装による表示
2.パンフレット・説明書による表示
3.口頭による表示
4.ポスター・看板による表示
5.実演による表示
6.出版物(新聞など)、放送(テレビなど)による表示
7.インターネットによる表示
8.陳列したサンプルによる表示
などたくさんのものがあります。
<景表法の景品類の最高額の規制>
景表法の第4条に書かれてます。
内閣総理大臣は、不当な顧客の誘引を防止し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を確保するため必要があると認めるときは、
景品類の価額の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他の景品類の提供に関する事項を制限し、
又は景品類の提供を禁止することができる。
これにより内閣総理大臣は懸賞による景品類の提供に関する事項の制限の告示を出している。
この告示の2項には、
懸賞により提供する景品類の最高額は、懸賞に係る取引の価額の20倍の金額(当該金額が10万円を超える場合にあっては、10万円)を超えてはならない。
(景品総額としては売り上げ予定総額の2%まで)
複数の事業者で行う懸賞により提供する景品類の最高額は30万円まで。
(景品総額として売り上げ予定総額の3%まで)
懸賞によらないものの最高額は、1000円未満のものには200円まで、1000円を超えるものにはその価格の10分の2のもの。
ここで気になるのは景品類とは何を差すのかです。
景品類については、景表法の2条3項に書かれている。
この法律で「景品類」とは、顧客を誘引するための手段として、その方法が直接的であるか間接的であるかを問わず、
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(・・・・・)に付随して相手方に提供する物品、金銭その他の経済上の利益であって、
内閣総理大臣が指定するものをいう。
内閣総理大臣が指定したものとは、不当景品類及び不当表示防止法第二条の規定により景品類及び表示を指定する件に書かれています。
事業者が自己の供給する商品又は役務の取引(・・・・・)に付随しているかどうかで判断されるようです。
宝くじの当選金、パチンコの景品、喫茶店のコーヒーに添えられる砂糖・クリームなど、正常な商慣習に照らして取引の本来の内容をなすと認められる経済上の利益の提供はこの指定したものにあたらない。
分かりにくいので、簡単に言うと、取引の本体そのものなのか、おまけなのかで判断するべきです。
つまり景品類とは、例えば、お菓子を買ったときに、ついてくるクオカードのことになります。
詳しくはこちら⇒景品表示法
その目的とするところ
景品表示法の目的とするところは、一般消費者の利益の保護にあります。
消費者庁などが不当な顧客誘引を禁止し、
事業者が景品類の提供及び表示の管理上の措置を講じ、
事業者・事業者団体が公正競争規約にのっとることにより、
消費者が自主的かつ合理的に、良い商品・サービスが選べるようになることです。
違反した場合はどうなる
公正取引委員会、消費者庁、都道府県知事などが連携して調査を行い、
消費者庁あるいは都道府県知事が対象事業者に指導および弁明の機会の付与を行った後、措置命令を出すことがあります。
その後の課徴金納付命令は消費者庁が弁明の機会の付与の後に出すことがあります。(都道府県知事にも権限があります)
措置命令とは、当該事業者に、不当表示により一般消費者に与えた誤認の排除、再発防止策の実施、今後同様の違反行為を行わないことなどを命令します。
違反の事実が認められない場合でも、違反のおそれがある行為が認められた場合は指導の措置がとられます。
事業者が不当表示をする行為をした場合、消費者庁、都道府県知事は課徴金の納付を命じます。(平成28年4月1日施行の法改正による)
課徴金の算定の仕方は、対象となる商品または役務を対象となる期間(最大3年間)に取引をした場合に、政令で定める方法により算定した売上額に3%を乗じて得た額となる。
*算定した課徴金が150万円未満の場合は課徴金の納付を命ずることはできない。
*知らず、かつ、知らないことにつき、表示に対し相当な注意を怠った者でないと認められるかどうかで、課徴金の納付をしないで済む場合もある。
課徴金の減額など
1.課徴金対象行為に該当する事実を自主的に消費者庁長官に報告した、事業者について、所定の条件を満たす場合は、課徴金の50%が減額されます。
2.事業者が、返金措置の実施に関する計画を作り、消費者庁長官の認定を受けるなど、所定の手続きにより消費者に対し返金措置を行った場合、返金相当額を減額するか、返金相当額が課徴金以上の場合にはその納付を命じません。
*返金措置・・・課徴金の対象期間中に、申出があった消費者に購入額の3%を乗じた額以上の金銭を交付するもの。
消費者庁などから措置命令を受けた後、その表示を修正しなかったり、無視してその表示をし続けた場合は、
景表法の36条の1項で2年以下の懲役または3百万以下の罰金が課せられることがあります。(第2項でこの2つを同時に課すこともできる)
まとめ
世の中が複雑になるにつれて、いろんなことが起こります。
その対策として景品表示法は生まれてきました。
実際の現場に合うように改正したり、うまく運用することで消費者の生活を守ってくれればいいですね。
消費者の不利益をもたらすような、詐欺などはなくなってほしいです。
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