突然の停電で「スマホの充電が残り少ないけれど、コンセントが使えない」と困ってしまうことがあります。災害時のスマホは、家族との連絡だけでなく、避難情報や被害状況を確認したり、ライトや地図を使ったりするためにも大切な道具です。そのため、普段のコンセント以外にも充電できる方法を知っておくと、もしものときに慌てずに対応できます。この記事では、停電時にスマホを充電する7つの方法をはじめ、災害時に役立つ充電器の選び方、バッテリーを長持ちさせるコツ、安全に使うための注意点まで初心者の方にもわかりやすく解説します。自宅の防災用品を見直す際にも、ぜひ参考にしてください。
停電時にスマホを充電する方法は?コンセントなしで使える7つの方法
停電すると家庭のコンセントからはスマホを充電できなくなりますが、ほかに電気を取り出せるものがあれば充電できる場合があります。代表的なのが、モバイルバッテリーや乾電池式充電器、車、ノートパソコン、ポータブル電源などです。さらに、停電が長引く場合には太陽光を利用できるソーラーパネルも役立ちます。
それぞれ使いやすさや向いている状況が異なるため、まずは特徴を簡単に比べてみましょう。
| 充電方法 | 使いやすさ | 向いている場面 |
|---|---|---|
| モバイルバッテリー | ◎ | 短時間の停電・避難時 |
| 乾電池式充電器 | ○ | 停電が長引いたとき |
| 車 | ○ | 自宅や車の近くにいるとき |
| ノートパソコン | ○ | パソコンに充電が残っているとき |
| ポータブル電源 | ◎ | 長時間の停電・家族での利用 |
| ソーラーパネル | ○ | 停電が長期化したとき |
| 手回し充電器 | △ | ほかに電源がない非常時 |
ひとつの方法だけに頼らず、2つ以上の充電手段を用意しておくと、停電が長引いたときにも対応しやすくなります。
1. モバイルバッテリーから充電する
停電時にもっとも手軽に使いやすい方法のひとつが、モバイルバッテリーです。あらかじめ本体を充電しておけば、停電してコンセントが使えなくなっても、USBケーブルなどでスマホとつなぐだけで充電できます。コンパクトな製品も多く、自宅だけでなく通勤バッグや防災バッグにも入れておきやすいのがメリットです。
ただし、モバイルバッテリーそのものに電気が残っていなければ使えません。そのため、購入して防災バッグに入れたままにするのではなく、普段から残量を確認し、使用したら充電しておく習慣をつけておきましょう。停電や災害はいつ起こるかわからないため、日常生活で使いながら防災にも活用する「普段使い兼用」にすると管理しやすくなります。
家族のスマホを複数台充電したい場合には、大容量タイプや複数のUSBポートを備えた製品も便利です。ただし、表示されている容量をそのまますべてスマホへ移せるわけではなく、充電時には変換などによるロスもあります。必要な容量については、後ほど詳しく解説します。
2. 乾電池式の充電器を使う
乾電池式充電器は、単3形などの乾電池を入れてスマホへ給電するタイプの充電器です。充電済みのモバイルバッテリーとは違い、対応する乾電池を交換すれば再び使えることが大きなメリットです。停電が数時間ではなく数日間に及んだ場合でも、予備の乾電池があれば電源を確保できる可能性があります。横浜市民共済や中部電力ミライズでも、災害時に利用できる方法として乾電池式充電器が紹介されています。
一方で、スマホのバッテリーは大容量化しているため、使用する乾電池の種類や本数、充電器の性能によっては、満充電まで充電できないこともあります。そのため「乾電池式が1台あれば大丈夫」と考えるより、モバイルバッテリーを使い切ったときの予備として備えておくと安心です。
防災用に保管するときは、充電器に電池を入れっぱなしにせず、使用期限や液漏れの有無を定期的にチェックしましょう。スマホに合った充電ケーブルも一緒に保管しておくと、いざというときすぐに使えます。
3. 車のUSBポート・シガーソケットから充電する
車を所有している場合は、車内のUSBポートやシガーソケットを利用してスマホを充電する方法もあります。USBポートが付いている車なら対応するケーブルを接続し、USBポートがない場合でも、シガーソケット用のUSB充電器を利用できる車があります。札幌ニップロでも、停電時のスマホ充電方法のひとつとして車からの充電が紹介されています。
自宅の電気が止まっていても車側に電力が残っていれば利用できるため、停電時には心強い方法です。ただし、車のバッテリーや燃料も無限ではありません。エンジンを停止したまま長時間電気を使用すると、車種や状態によってはバッテリーが上がる原因になることがあります。また、大規模災害ではガソリンスタンドが営業できないことも考えられるため、燃料はできるだけ温存しましょう。
なお、エンジンをかけて充電する場合は場所にも注意が必要です。ガレージなど密閉された場所でエンジンをかけ続けるのは危険です。車を利用するときは取扱説明書を確認し、車種に合った安全な方法で使用してください。
4. ノートパソコンのUSB端子からスマホを充電する
停電が起きたとき、充電されたノートパソコンが手元にあれば、USB端子からスマホへ給電できる場合があります。方法は比較的簡単で、スマホに対応したUSBケーブルをパソコンへ接続します。札幌ニップロでも、停電中の充電方法としてノートパソコンを利用する方法が紹介されています。
特別な防災用品を用意していなくても使える可能性があるため、突然停電したときに覚えておくと便利です。ただし、スマホへ電力を渡せば、その分ノートパソコンのバッテリー残量は減っていきます。パソコンも情報収集や仕事、家族との連絡などに必要な場合は、残量を確認しながら使いましょう。
また、USB端子の仕様はパソコンによって異なり、電源オフやスリープ中でも給電できる機種もあれば、パソコンを起動しなければ給電できない機種もあります。画面を点灯させる必要がある場合は、画面の明るさを下げたり省電力設定を利用したりして、できるだけパソコン側の電池を節約するとよいでしょう。
5. ポータブル電源から充電する
停電が長引く場合や、家族分のスマホを充電したい場合には、ポータブル電源も便利です。ポータブル電源は一般的なモバイルバッテリーより大容量の製品が多く、USB端子だけでなくACコンセントなど複数の出力を備えた製品もあります。そのため、スマホだけでなくタブレットやライトなど、さまざまな機器の電源として利用できます。
横浜市民共済でも、ポータブル電源は災害時の非常用電源として紹介されており、製品によってはソーラーパネルによる充電にも対応しています。 中部電力ミライズでも、USB出力ポートなどを備えたポータブル電源が停電時に活用できると紹介されています。
ただし、容量が大きくなるほど本体も重くなり、価格も高くなる傾向があります。また、あらかじめポータブル電源自体を充電しておかなければ十分に活用できません。自宅避難を想定している家庭や、複数人で電源を共有したい家庭では検討しやすい選択肢ですが、購入後は定期的な残量確認と動作確認も行っておきましょう。
6. ソーラーパネル・ソーラー充電器を使う
停電が長期間続くことまで考えるなら、太陽光を利用して発電できるソーラーパネルやソーラー充電器も選択肢になります。一般的なモバイルバッテリーは蓄えていた電気を使い切ると充電できなくなりますが、ソーラーパネルなら日射条件が整えば、コンセントがない環境でも新しく電力を作れる点がメリットです。
ソーラーパネルにはスマホへ直接USB接続できるものや、ポータブル電源・モバイルバッテリーへ一度蓄電してから使うものがあります。停電が長引くと、昼間に発電してバッテリーへ電気をため、必要な時間帯にスマホを充電するといった使い方もできます。
ただし、ソーラー充電は天候や日射量、パネルの大きさ、設置する向きなどによって発電量が大きく変わります。横浜市民共済も、曇りや雨の日には発電に時間がかかる点を注意点として紹介しています。 そのため、ソーラーだけを唯一の充電方法にするのではなく、モバイルバッテリーや乾電池式充電器などと組み合わせて備えるのがおすすめです。
7. 手回し充電器・防災ラジオから充電する
ハンドルを回して自分で発電する手回し充電器や、手回し発電機能を備えた防災ラジオもあります。停電が続き、モバイルバッテリーや乾電池などを使い切ってしまった場合でも、自分の力で発電できるのが特徴です。電池やコンセントがなくても使えるため、最後の手段として用意しておける非常用の充電方法と考えるとよいでしょう。
ただし、スマホを十分に充電する目的では過度な期待はできません。中部電力ミライズが行った実験では、2,900mAhのスマホと定格出力4.2V・500mAの手回し充電器を使用し、30分間に4,000~5,000回転させても、スマホの充電量は1%増えた程度でした。これは特定の機器・条件で行われた実験結果なので、すべての手回し充電器が同じ性能という意味ではありませんが、長時間回し続けてスマホを満充電する用途には向きにくいことがわかります。
一方、同じ検証では、2分間の手回し発電でLEDライトやラジオを一定時間利用できたとされています。 そのため、防災ラジオはスマホ充電だけを目的に選ぶのではなく、ラジオによる情報収集やLEDライトを使うための防災用品として考え、スマホの主な充電手段にはモバイルバッテリーなどを別に用意しておくと安心です。
停電時のスマホ充電はどの方法がおすすめ?状況別に比較
停電時にスマホを充電する方法はいくつかありますが、「結局どれを用意しておけばいいの?」と迷う方もいるでしょう。選ぶときのポイントは、停電がどのくらい続くか、何台のスマホを充電するか、電源を持ち運ぶ必要があるかを考えることです。
たとえば、数時間程度の停電なら、あらかじめ充電しておいたモバイルバッテリーが手軽です。一方、停電が数日間に及ぶ場合は、蓄えてある電気だけでは足りなくなる可能性があるため、乾電池式充電器やソーラーパネルなども役立ちます。
それぞれに得意・不得意があるため、「これさえあれば絶対に安心」というものではありません。災害への備えとしては、使いやすい方法をメインにして、別の方法を予備として組み合わせるのがおすすめです。
| 状況 | おすすめの方法 | ポイント |
|---|---|---|
| 短時間の停電 | モバイルバッテリー | 手軽で持ち運びやすい |
| 停電が長引く場合 | ポータブル電源・ソーラーパネル | 大容量の蓄電や太陽光による発電が可能 |
| 予備電源を確保したい場合 | 乾電池式充電器 | 対応する予備電池があれば交換できる |
| ほかの電源がない場合 | 手回し充電器 | 非常用として考える |
短時間の停電ならモバイルバッテリーが使いやすい
台風や雷などによる短時間の停電に備えるなら、まず用意しておきたいのがモバイルバッテリーです。あらかじめ充電しておけば、停電が発生してもスマホとケーブルで接続するだけで使えるため、特別な操作を覚える必要がありません。小型の製品ならバッグにも入れやすく、避難するときにも持ち運びやすいでしょう。
また、モバイルバッテリーは防災専用品ではなく、旅行や外出先など普段の生活でも利用できます。防災用品を買っても「しまったままで使い方がわからない」ということがありますが、普段から使っていれば、災害時にも迷わず使いやすいのがメリットです。
ただし、注意したいのがモバイルバッテリー自体の充電切れです。横浜市民共済でも、モバイルバッテリーは日頃から充電しておくことが大切だと紹介されています。防災バッグに入れっぱなしにするのではなく、ときどき取り出して残量を確認しましょう。
スマホを1台だけ充電するのか、家族のスマホも充電するのかによって必要な容量も変わります。家族で使用する場合は、大容量タイプを選んだり、複数のモバイルバッテリーに分けたりする方法も検討してみてください。
長時間の停電ならポータブル電源やソーラーパネルも検討
地震や台風などの災害では、停電がすぐに復旧するとは限りません。停電が長引くことを考えるなら、大容量のポータブル電源や、太陽光を利用できるソーラーパネルも検討しておきたいところです。
ポータブル電源は、一般的なモバイルバッテリーより大容量の製品が多く、スマホを複数回充電したり、家族の端末を充電したりするときに便利です。USB端子のほか、AC出力などを備えている製品なら、対応するさまざまな機器への給電にも利用できます。
さらに、対応するソーラーパネルと組み合わせれば、日射条件が整った環境では太陽光から電力を得られます。蓄えていた電気を使うだけではなく、新しく発電できる方法を用意できることは、停電が長期化した場合のメリットです。
ただし、ソーラー発電は天候や季節、日射量、パネルの設置条件などによって発電量が変わります。曇りや雨の日には十分な電力を得にくいこともあるため、ソーラーパネルだけに頼るのはおすすめできません。
「普段はモバイルバッテリーを使い、停電が長引いたときはポータブル電源やソーラーパネルも活用する」というように、段階的に使えるよう準備しておくとよいでしょう。
乾電池式充電器は電池を交換して使えるのがメリット
停電が長引いたときの予備として役立つのが乾電池式充電器です。モバイルバッテリーは内部に蓄えた電気を使い切ると、再び本体を充電しなければなりません。一方、乾電池式充電器なら、対応する新しい乾電池へ交換することで再びスマホへ給電できるのが特徴です。
乾電池は懐中電灯やラジオなど、ほかの防災用品にも使用することがあります。そのため、防災用として備蓄するときは「スマホ用に何本使うのか」「ライトやラジオにも何本必要なのか」まで考えておくことが大切です。
また、使用する乾電池の種類や本数、充電器の性能、スマホの状態などによって、どの程度充電できるかは異なります。乾電池式充電器だけでスマホを何度も満充電できると考えず、あくまで予備の充電方法のひとつとして準備しておくとよいでしょう。
長期保管する場合は、乾電池の使用推奨期限や液漏れにも注意が必要です。防災用品を点検する日を決め、充電器本体・乾電池・スマホに合うケーブルがそろっているか、一緒に確認しておくと安心です。
手回し充電は非常用と考えてモバイルバッテリーと併用する
手回し充電器は、ハンドルを回すことで発電できるため、コンセントも充電済みのバッテリーもない状況で使えるのがメリットです。その一方で、スマホの主な充電方法として考える場合には注意が必要です。
中部電力ミライズが公開している実験では、バッテリー容量2,900mAhのスマホと定格出力4.2V・500mAの手回し充電器を使用し、30分間に4,000~5,000回転させたところ、スマホの充電量は1%増えたとされています。
もちろん、これは特定の機器と条件による結果であり、すべての手回し充電器が同じ性能というわけではありません。しかし、スマホを満充電にするための主力としてではなく、ほかの充電方法が使えなくなったときの非常用と考えておくほうが現実的です。
防災ラジオに手回し発電機能が付いている製品なら、ラジオで情報を確認したり、LEDライトを使用したりできるものもあります。そのため、手回しタイプは「スマホを充電するためだけの機器」と考えるより、停電時に役立つ複数の機能を備えた防災用品として活用するとよいでしょう。
停電対策では、モバイルバッテリーを基本にして、乾電池式充電器やポータブル電源などを予備として組み合わせると、ひとつの電源が使えなくなった場合にも対応しやすくなります。
停電・災害時にスマホの電池を長持ちさせる方法
停電や災害が起きたときは、スマホを「どう充電するか」だけでなく、今残っているバッテリーをできるだけ長持ちさせることも大切です。災害時のスマホは、家族との安否確認、避難情報の確認、地図の利用などに役立つため、普段と同じように使い続けると必要なときに電池切れになる可能性があります。
難しい操作をしなくても、省電力機能を利用したり画面の明るさを調整したりするだけで、電池の消費を抑えられる場合があります。停電が発生したら、充電できる場所を探すこととあわせて、次のような設定も確認してみましょう。
| 節電方法 | ポイント |
|---|---|
| 低電力・省電力モード | まず設定しておきたい基本的な対策 |
| 画面を暗くする | 必要以上に明るくしない |
| 通信機能を見直す | 使わない機能だけオフにする |
| 圏外時の使い方を見直す | 通信が不要なら機内モードも検討 |
| 家族で利用方法を決める | 限られた電力を効率よく使う |
低電力モード・省電力モードを利用する
停電が起きたときに最初に確認したいのが、スマホに搭載されている低電力モードや省電力モードです。iPhoneには「低電力モード」、Androidスマホには機種によって「バッテリーセーバー」「省電力モード」などの機能があります。
これらの機能を利用すると、バックグラウンドで行われる処理や一部の機能などを抑え、バッテリーの消費を少なくできる場合があります。災害時はいつ次の充電ができるかわからないため、バッテリー残量が少なくなってからではなく、停電した段階で早めに省電力設定へ切り替えるのもひとつの方法です。
ただし、省電力モードを利用すると、アプリのバックグラウンド更新や一部の通信、視覚効果などが制限される場合があります。通知が届くタイミングなどにも影響する可能性があるため、災害情報や家族からの連絡を確認するときは注意しましょう。
設定方法や機能名はスマホの機種、OSのバージョンによって異なります。普段のうちに「自分のスマホではどこから省電力設定を変更できるのか」を一度確認しておくと、突然の停電でも慌てずに使えます。
画面の明るさを下げてバッテリー消費の大きいアプリを見直す
スマホを使っている時間が長くなるほど、画面表示にも電力を使います。停電中は、画面の文字が読める範囲で明るさを必要以上に高くしないようにすると、バッテリーを節約しやすくなります。また、画面を使っていないときは早めに消灯するよう、画面の自動ロック時間を短めに設定しておくのもよいでしょう。
特に災害時は、ニュースやSNSを何度も確認したくなるものです。しかし、動画を長時間視聴したり、画面をつけたまま情報を探し続けたりすると、バッテリーの消費が大きくなりやすくなります。必要な情報を確認したら一度画面を消すなど、普段より意識して使用時間を短くしましょう。
アプリについても、位置情報や通信などを継続的に利用しているものがないか確認しておくと安心です。ただし、すべてのアプリを何度も強制終了すれば必ず節電になるとは限りません。頻繁に使用するアプリまで閉じたり開いたりするより、バッテリー使用状況を確認し、消費の大きいアプリや当面使わない機能を見直すほうがわかりやすいでしょう。
災害時には「スマホをまったく使わない」のではなく、必要な連絡や情報収集に使えるよう、動画・ゲームなど緊急性の低い用途を控えることが大切です。
Wi-Fi・Bluetooth・位置情報など不要な機能を見直す
スマホには、モバイル通信のほかにWi-Fi、Bluetooth、位置情報などさまざまな機能があります。停電時に少しでも電池を節約したい場合は、そのとき使っていない機能がないか確認することもひとつの方法です。
たとえば、周辺に利用できるWi-Fiがなく、Wi-Fi接続を当面使う予定がない場合や、イヤホンなどのBluetooth機器を使わない場合は、状況に応じて設定を見直せます。また、位置情報を利用する必要がないアプリについては、その利用状況を確認しておくのもよいでしょう。
一方で、災害時だからといって通信機能をすべてオフにすればよいわけではありません。Wi-Fiが利用できる避難所や施設もありますし、Bluetoothや位置情報を利用するサービスが必要になることもあります。地図や防災アプリなどでは位置情報が役立つ場合もあります。
大切なのは、「節電のために全部切る」のではなく、その場で必要な機能を残して不要なものを見直すことです。あとで戻し忘れないよう、何を変更したのか覚えておきましょう。
圏外ではバッテリー消費が増えることがあるため注意する
大きな災害では、基地局の被害や通信の混雑などによってスマホがつながりにくくなったり、圏外になったりする可能性があります。電波の弱い場所では通信状態が安定しないこともあるため、スマホのバッテリーを節約したいときは使い方に注意しましょう。
しばらく連絡や通信をする必要がなく、電波もまったく入らないような状況なら、必要に応じて機内モードを利用する方法もあります。スマホの電源そのものを切って、必要な時間だけ起動することを検討してもよいでしょう。
ただし、機内モードにすると通常の携帯電話回線による電話や通信が利用できなくなるため、家族からの連絡や緊急情報を待っている場合には注意が必要です。安否確認を行う時間を家族で決め、その時間には通信できる状態に戻すといった工夫も考えられます。
また、災害時は何度も通信状況を確認したくなりますが、必要以上にWebページやSNSを更新し続けることは避けましょう。スマホは大切な連絡手段ですので、「使えるうちに使い切る」のではなく、必要なときのために電池を残しておく意識が大切です。
家族で連絡方法や充電するスマホの優先順位を決めておく
家族が複数人いる家庭では、停電時に全員がそれぞれスマホを使い続けると、用意していたモバイルバッテリーやポータブル電源を早く使い切ってしまう可能性があります。限られた電力を有効に使うためにも、災害時のスマホの使い方を家族であらかじめ決めておくと安心です。
たとえば、「連絡を確認する時間を決める」「情報収集は1台のスマホを中心にする」「バッテリー残量の少ない端末から優先して充電する」など、家庭に合ったルールを考えてみましょう。小さなお子さんや高齢の家族がいる場合は、誰のスマホを連絡用として優先するかも決めておくとわかりやすくなります。
また、スマホ以外の情報収集手段を用意することも大切です。防災ラジオがあれば、すべての情報をスマホだけで確認する必要がなくなり、スマホの電池消費を抑えることにもつながります。
横浜市民共済でも、災害時にはスマホ以外の情報収集手段として防災ラジオを備えることが紹介されています。スマホは安否確認や避難情報の確認などにとても便利ですが、スマホだけに情報収集を集中させないこともバッテリーを守る方法のひとつです。
停電が長引くほど、残っている電力は貴重になります。充電器をたくさん用意することに加えて、家族全員で「電池をどう使うか」まで話し合っておくと、いざというときに落ち着いて行動しやすくなるでしょう。
災害時に使えるスマホ充電器の種類と特徴
災害に備えてスマホの充電器を準備するなら、それぞれの特徴を知ったうえで選ぶことが大切です。モバイルバッテリーは手軽に使える一方、蓄えていた電気を使い切れば再充電が必要です。乾電池式充電器は電池を交換でき、ソーラーパネルは日射条件が整えば太陽光から発電できます。
このように、充電器によって「持ち運びやすさ」「蓄えられる電力量」「電気を使い切った後の対応」などが異なります。ひとつですべての状況に対応しようとするより、それぞれの長所を生かして組み合わせると安心です。
| 種類 | 主な特徴 | 防災での使い方 |
|---|---|---|
| モバイルバッテリー | 小型で持ち運びやすい | 最初に使う電源として便利 |
| 乾電池式充電器 | 乾電池を交換できる | 予備の充電方法に向いている |
| ソーラー充電器・パネル | 太陽光から発電できる | 長期停電への備えになる |
| ポータブル電源 | 大容量タイプが多い | 家族や複数機器で使いやすい |
| 手回し充電器 | 人の力で発電できる | ほかの電源がない場合の非常用 |
防災用に選ぶときは「容量が大きければ安心」と考えるだけでなく、持ち運ぶのか、自宅で使うのか、家族何人で使用するのかまで考えてみましょう。
モバイルバッテリー|普段使いと防災を兼用しやすい
災害用のスマホ充電器として、まず準備しやすいのがモバイルバッテリーです。充電しておいた本体とスマホを対応するケーブルで接続するだけなので、停電が発生してから複雑な準備をする必要がありません。
モバイルバッテリーの大きなメリットは、普段使いと防災用品を兼用しやすいことです。旅行や通勤、外出先でスマホの電池が少なくなったときにも利用できるため、「防災用品として買ったものの一度も使ったことがない」という状況を避けやすくなります。
一方、モバイルバッテリーは内部に蓄えた電気を使うものなので、本体の残量がなくなればスマホへ充電できません。また、長期間放置すれば自然放電や劣化などによって、必要なときに十分使えない可能性もあります。
そのため、防災バッグへ入れて終わりにせず、普段から残量を確認しておきましょう。旅行や外出で使った後には再充電しておくなど、日常生活の中で管理する方法がおすすめです。
防災用として購入するときは容量だけでなく、スマホに対応する端子、出力、ポート数、重さなども確認します。特に家族で使う場合は、1台を共有するのか、ひとり1台ずつ持つのかを考えて選ぶとよいでしょう。
乾電池式充電器|長期保存しやすく停電が長引いたときにも便利
乾電池式充電器は、対応する乾電池をセットしてスマホへ給電するタイプです。モバイルバッテリーのように本体をあらかじめ充電しておく必要がなく、使用できる乾電池を備蓄しておけば、交換しながら利用できるのがメリットです。
特に停電が長引くと、モバイルバッテリーの電気を使い切ってしまうことがあります。そのようなときの予備として、乾電池式充電器と乾電池をセットで準備しておくと、充電手段をひとつ増やせます。
ただし、使用する乾電池の種類・本数や充電器の性能、スマホのバッテリー容量などによって、充電できる量は変わります。乾電池を入れ替えれば何度でもスマホを満充電できるという意味ではないため、モバイルバッテリーなどと併用するのがおすすめです。
また、乾電池なら何でも使えるわけではありません。充電器が指定する種類や本数を確認し、取扱説明書に従って使用しましょう。
防災用として保管する場合は、乾電池の使用推奨期限や液漏れも定期的にチェックします。懐中電灯やラジオにも同じサイズの乾電池を使う場合は、スマホ充電用を含めて必要本数を考えておくと安心です。
ソーラー充電器・ソーラーパネル|電源がなくても太陽光を利用できる
ソーラー充電器やソーラーパネルは、太陽光を利用して発電できることが特徴です。モバイルバッテリーやポータブル電源は蓄えていた電気を使えば残量が減りますが、ソーラーパネルなら日射条件が整えば、停電中でも新しく電力を得られる可能性があります。
そのため、数時間程度の停電というより、停電が長期化した場合の備えとして検討したい充電方法です。製品によってはスマホなどへ給電できるもののほか、ポータブル電源と組み合わせて使うタイプもあります。
たとえば、日中にソーラーパネルで発電してポータブル電源などへ電気をため、夜間にスマホを充電するといった使い方も考えられます。電力をためておけば、日が沈んだ後にも利用できるため便利です。
ただし、太陽光を利用する以上、発電量は天候、季節、時間帯、パネルの大きさや設置状態などに左右されます。曇りや雨の日には発電量が低下したり、充電に長い時間が必要になったりすることがあります。
そのため、ソーラー充電器だけを唯一の電源にするのではなく、モバイルバッテリーやポータブル電源などと組み合わせるのが安心です。購入したら災害時まで保管したままにせず、晴れた日に実際に使って発電方法や接続方法を確認しておきましょう。
ポータブル電源|スマホ以外の機器にも給電できる
自宅での停電対策を充実させたい場合には、ポータブル電源も選択肢になります。一般的なモバイルバッテリーより大容量の製品が多く、USB端子やAC出力などを備えた製品なら、スマホ以外のさまざまな機器にも給電できます。
たとえば、家族のスマホやタブレット、USBライトなど複数の機器を使いたい場合には便利です。中部電力ミライズでも、ポータブル電源は大容量バッテリーにUSB出力ポートなどを備え、停電時に活用できるものとして紹介されています。
ただし、ポータブル電源ならどんな家電でも自由に使えるわけではありません。製品ごとにバッテリー容量や定格出力、使用できる機器などが異なるため、接続する機器の消費電力とポータブル電源の仕様を事前に確認する必要があります。
また、大容量になるほどサイズや重量が増える傾向があるため、防災バッグに入れて徒歩で持ち運ぶ用途には向かない製品もあります。「避難するときに持ち出すもの」と「自宅避難で使用するもの」を分けて考えると選びやすくなります。
ポータブル電源も、モバイルバッテリーと同様に事前の充電が必要です。購入しただけで安心せず、定期的に残量や動作を確認し、取扱説明書に従って適切に保管しましょう。
手回し充電器|電池切れでも発電できる非常用の選択肢
手回し充電器は、ハンドルなどを人の力で回して発電するタイプです。乾電池やコンセントがなくても発電できるため、ほかの充電手段を使えなくなった場合の非常用として備えることができます。
防災ラジオの中には手回し発電機能を備え、ラジオやLEDライトを使用できるほか、スマホへの給電に対応した製品もあります。ひとつの防災用品で情報収集や明かりの確保など複数の用途に使えることはメリットです。
一方で、スマホには大容量のバッテリーが搭載されているため、手回し発電だけで十分な量を充電しようとすると大きな労力と時間が必要になる場合があります。
中部電力ミライズが行った実験では、バッテリー容量2,900mAhのスマホと定格出力4.2V・500mAの手回し充電器を使用し、30分間に4,000~5,000回転させても、スマホの充電量は1%増えた程度でした。これは特定の製品・条件による実験結果ですが、手回し充電をスマホの主力電源として考えにくいことがわかります。
そのため、手回しタイプは「これ1台でスマホの充電は安心」と考えるのではなく、モバイルバッテリーや乾電池式充電器などを準備したうえで、最後の予備として備えるとよいでしょう。
防災用のスマホ充電器には、それぞれ得意な場面があります。普段使いしやすいモバイルバッテリー、電池を交換できる乾電池式充電器、大容量のポータブル電源、太陽光を利用するソーラーパネルなどを家庭の人数や避難方法に合わせて組み合わせることが大切です。
防災用スマホ充電器の選び方|容量・出力・端子をチェック
防災用のスマホ充電器を選ぼうとすると、「10,000mAh」「20W」「USB PD」など、普段あまり見慣れない数字や言葉が並んでいて迷ってしまうことがあります。しかし、すべての規格を詳しく覚える必要はありません。
大切なのは、どのくらい電気をためられるのか、手持ちのスマホにつなげられるのか、必要な速さで充電できるのかを確認することです。さらに、防災バッグへ入れる場合は、大きさや重さも忘れずにチェックしましょう。
購入するときは、次の5つを順番に確認すると選びやすくなります。
| 確認する項目 | 主に見る表示 | 確認する理由 |
|---|---|---|
| 容量 | mAh・Wh | どの程度電気を蓄えられるかを見る |
| 端子 | USB Type-C・USB-Aなど | スマホやケーブルを接続できるか確認する |
| 出力 | W(ワット)など | 充電性能を確認する |
| ポート数 | 1口・2口など | 複数台を接続できるか確認する |
| 携帯性・耐久性 | 重量・サイズ・防水防塵性能など | 避難時にも無理なく持ち運べるか確認する |
バッテリー容量(mAh・Wh)とスマホの充電回数を確認する
モバイルバッテリーやポータブル電源を選ぶときに、まず確認したいのが容量です。モバイルバッテリーでは「10,000mAh」のようにmAh(ミリアンペアアワー)で表示されることが多く、基本的には数字が大きいほど多くの電気を蓄えられます。
たとえば、5,000mAh、10,000mAh、20,000mAhなどさまざまな容量があります。防災用として考える場合は、スマホを1台だけ充電するのか、家族のスマホも含めて複数台充電するのかによって適した容量が変わります。
ここで注意したいのは、「モバイルバッテリーの容量÷スマホのバッテリー容量=そのまま充電回数」にはならないことです。実際の充電では電圧の変換やケーブルなどで電力の損失が発生するため、表示容量を100%そのままスマホへ移せるわけではありません。
そのため、10,000mAhのモバイルバッテリーだからといって、5,000mAhのスマホを必ずちょうど2回満充電できるとは考えないほうがよいでしょう。製品メーカーが「スマホを約○回充電可能」などの目安を掲載している場合は、自分が使っているスマホに近い条件を参考にするとわかりやすくなります。
一方、ポータブル電源では「Wh(ワットアワー)」という単位がよく使われます。こちらも蓄えられる電力量を見るための数字で、数字が大きくなるほど長時間・多くの機器に使いやすくなる一方、本体も大きく重くなる傾向があります。
防災用品では大容量だけを追い求めず、「誰が・何台のスマホを・何日程度使うことを想定するか」から必要な容量を考えることが大切です。家族人数ごとの容量については、後の項目で詳しく解説します。
USB Type-C・USB-Aなどスマホに合った端子を確認する
容量と一緒に必ず確認しておきたいのが、充電器とケーブルの端子です。現在はUSB Type-Cを採用したスマホや充電器が増えていますが、手持ちの機器によって必要な端子は異なります。
充電器側には、主にUSB Type-CやUSB-Aなどの端子があります。スマホ側もUSB Type-Cの場合がある一方、使用している機種によっては別の端子や対応ケーブルが必要です。
防災用では「モバイルバッテリーを買ったから安心」と考えず、実際に自分のスマホと接続できるケーブルまでセットで準備することが重要です。家族で機種が違う場合は、それぞれのスマホに合ったケーブルがそろっているか確認しましょう。
また、モバイルバッテリー本体を充電するための端子も確認してください。スマホ用のケーブルはあるのに、モバイルバッテリー本体を充電するケーブルが見つからないということも考えられます。
防災バッグを点検するときは、充電器だけを見るのではなく、スマホ・充電器・ケーブルを実際につないで充電できるか試してみるのがおすすめです。スマホを買い替えたときには、防災バッグに入れているケーブルも新しい端末に対応しているか忘れずに確認しましょう。
USB PDなど出力・急速充電への対応を確認する
商品ページを見ると「20W」「30W」などの数字が表示されていることがあります。このW(ワット)は電力を示す単位で、スマホを充電するときの出力を確認する目安になります。
また、「USB PD」や「USB Power Delivery」と表示された充電器もあります。USB PDは、対応する機器同士で電力をやり取りするためのUSB規格です。対応するスマホ・充電器・ケーブルを組み合わせることで、急速充電を利用できる場合があります。
災害時は充電できる時間が限られることもあるため、短い時間で必要な電池を確保しやすい急速充電対応製品は便利です。避難所などで電源を利用できる時間が限られている場合にも役立つでしょう。
ただし、USB Type-Cの差し込み口が付いていれば、すべて同じ充電性能になるわけではありません。USB Type-Cは端子の形を表す名称で、USB PDへの対応状況や最大出力は製品ごとに異なります。
さらに、急速充電を利用するにはスマホだけでなく、充電器やモバイルバッテリー、ケーブル側も対応条件を満たしている必要があります。たとえばiPhoneでも、機種によって急速充電に必要な電源アダプターやケーブルの条件が異なります。
そのため、防災用の充電器を選ぶときは「Type-Cだから速い」と判断せず、自分のスマホが対応する急速充電規格と、モバイルバッテリー側の最大出力を商品仕様で確認しましょう。
複数台を充電するならポート数と合計出力を確認する
家族でひとつのモバイルバッテリーやポータブル電源を共有する場合は、USBポートの数も重要です。ポートが2つ以上あれば、製品によってはスマホを複数台同時に接続できます。
たとえば、夫婦2人のスマホを同時に充電したい場合や、スマホと防災用ライトを同時に充電したい場合には、複数ポートを備えた製品が便利です。停電中は限られた時間で充電したいこともあるため、1台ずつ順番を待つ必要がないことはメリットになります。
ただし、ここで確認したいのが「1ポートあたりの最大出力」と「複数ポート使用時の合計出力」です。製品によっては、1台だけ接続したときは高出力でも、2台以上を同時に接続すると電力が分配され、それぞれの充電速度が遅くなることがあります。
「USBポートが3つあるから3台とも同じ速さで急速充電できる」とは限りません。商品説明に「単ポート使用時」「2ポート同時使用時」「合計出力」などの記載がある場合は確認しておきましょう。
防災用なら、家族全員のスマホを一度に満充電することだけを考える必要はありません。限られた電力をできるだけ残すため、必要なスマホから一定量ずつ充電して順番に使う方法も考えておくと安心です。
防災バッグ用なら重量・サイズ・防水防塵性能もチェックする
防災用の充電器では、容量や性能だけでなく持ち運びやすさも大切です。特に避難するときに持ち出す防災バッグへ入れる場合は、モバイルバッテリーだけでなく、水、食料、ライト、救急用品などさまざまなものを一緒に運ぶことになります。
大容量のバッテリーは安心感がありますが、一般的には容量が増えるほど大きく重くなる傾向があります。容量だけを見て選んだ結果、「重すぎて防災バッグから出してしまった」ということにならないよう、実際に持ち運べる重さかどうかも確認しましょう。
たとえば、自宅に置いて使う大容量のポータブル電源と、避難時に持ち出す小型のモバイルバッテリーを分けて準備する方法があります。すべてをひとつの充電器でまかなおうとせず、用途に応じて使い分けると無理がありません。
屋外で使用する可能性がある場合は、防水・防塵性能の有無も確認しておくと安心です。ただし、「防水」と表示されていても、水中で使用できるとは限りません。製品ごとに対応できる条件が異なるため、取扱説明書や仕様を確認してください。
また、防水性能がある充電器でも、充電端子や接続部分が濡れた状態で使用することは避けましょう。雨天の避難では防水袋などへ入れて持ち運び、できるだけ水に濡らさない工夫も大切です。
防災用スマホ充電器を選ぶときは、「大容量だから安心」「急速充電だから安心」というひとつの数字だけで決めず、容量・端子・出力・ポート数・持ち運びやすさをまとめて確認することがポイントです。普段使いできる製品なら日常的に動作確認もできるため、災害時にも使い方で迷いにくくなるでしょう。
家族分のスマホを充電するにはどれくらいの容量が必要?
家族で停電に備えるとき、「モバイルバッテリーは何mAhあれば足りるの?」と迷う方も多いのではないでしょうか。必要な容量は、家族の人数、スマホのバッテリー容量、何回充電したいかによって変わります。
最近のスマホには大容量のバッテリーを搭載した機種も多いため、家族全員のスマホを1台の小さなモバイルバッテリーだけで何日も充電するのは難しい場合があります。
また、モバイルバッテリーに表示されている容量を、そのまますべてスマホへ移せるわけではありません。充電時には電圧変換などによる損失があるため、実際に利用できる電力量は使用する機器や環境によって変わります。
そのため、防災用では「○mAhあれば絶対に安心」と考えるより、次のように家族が必要とする充電回数から逆算して、少し余裕を持たせると考えやすくなります。
| 想定する使い方 | 容量を考えるときのポイント |
|---|---|
| 1人・スマホ1台 | 自分のスマホを何回充電したいかで考える |
| 家族2人 | 2台分のバッテリー容量と必要回数を確認する |
| 家族4人 | 大容量タイプや複数台への分散も検討する |
| スマホ以外も充電 | タブレットやUSB機器の消費分も追加して考える |
10,000mAh・20,000mAhモバイルバッテリーの充電回数の目安
モバイルバッテリーでは、10,000mAhや20,000mAhといった容量の製品が多く販売されています。数字だけを見ると、たとえば5,000mAhのスマホなら「10,000mAhで2回、20,000mAhなら4回充電できそう」と考えたくなります。
しかし、実際にはそれほど単純ではありません。モバイルバッテリーからスマホへ充電するときには電圧の変換などによる損失があるため、表示されている容量の100%をそのままスマホへ充電できるわけではないからです。
さらに、スマホを操作しながら充電すれば、その間にもスマホ側で電気を消費します。使用するケーブル、機器の状態、温度などによっても実際の充電量は変わるため、充電回数はあくまで目安として考えましょう。
たとえば、スマホのバッテリー容量を5,000mAhと仮定した場合でも、「10,000÷5,000=必ず2回満充電」とはなりません。20,000mAhの場合も同じで、単純計算した回数より実際の満充電回数は少なくなると考えて、余裕を持たせることが大切です。
購入するときは容量表示だけで判断せず、メーカーが具体的なスマホ機種を例に「約○回充電可能」などの目安を公開している場合は、そちらも確認してください。
防災用では計算上ぎりぎりの容量を選ばず、停電が長引く可能性も考えて余裕を持たせると安心です。
家族2人・4人で必要になるバッテリー容量の考え方
家族で必要な容量を考えるときは、「4人家族なら○mAh」と人数だけで決めるより、家族が使っているスマホのバッテリー容量を確認するところから始めるとわかりやすくなります。
考え方は難しくありません。まず、「スマホ1台のバッテリー容量 × スマホの台数 × 必要な充電回数」をひとつの目安にします。ただし、先ほど説明したように変換などによる損失があるため、この単純計算と同じ容量のモバイルバッテリーを選べば十分という意味ではありません。
たとえば、家族2人がそれぞれ5,000mAh程度のスマホを持っていると仮定すると、2台を1回ずつ満充電するだけでも、スマホ側では合計10,000mAh相当の容量が必要になります。そのため、表示容量10,000mAhのモバイルバッテリー1台だけで、2台を確実に1回ずつ満充電できるとは考えないほうがよいでしょう。
4人家族なら、さらに必要な電力量が増えます。大容量のモバイルバッテリー1台にまとめる方法もありますが、10,000mAhや20,000mAhなどのモバイルバッテリーを複数台に分けて持つ方法もあります。
複数台に分けておけば、お父さんは職場、お母さんは自宅、お子さんは学校や避難先というように家族が別々の場所にいるときにも、それぞれ電源を持つことができます。また、1台が故障したり電池切れになったりしても、別のバッテリーを使えることもメリットです。
一方、自宅で家族全員が過ごすことを想定するなら、大容量のポータブル電源を用意し、モバイルバッテリーと組み合わせる方法もあります。
大切なのは、「家族4人だから大容量を1台買う」という考え方ではなく、災害時に家族がどこにいる可能性があるかまで考えて電源を分散することです。
スマホだけでなくタブレットやその他のUSB機器も考えて備える
災害時に電気が必要になるのはスマホだけとは限りません。家庭によっては、タブレット、モバイルWi-Fiルーター、USBライトなど、ほかにも充電したい機器があるでしょう。
特に普段からタブレットやモバイルWi-Fiルーターを情報収集に使っている家庭では、それらの充電分も考えておく必要があります。スマホだけを基準にモバイルバッテリーの容量を決めてしまうと、停電が長引いたときに電力が足りなくなる可能性があります。
そこで、防災用の容量を考える前に、家庭で使用する機器を一度書き出してみましょう。
| 機器 | 停電時の優先度を考えるポイント |
|---|---|
| スマホ | 連絡・安否確認・情報収集に使うため優先度が高い |
| タブレット | 情報収集などに使う場合は必要量を考える |
| モバイルWi-Fiルーター | 利用する通信環境に応じて必要性を判断する |
| USBライト | 夜間の明かりとして使う場合は消費分を考える |
ただし、停電時にすべての機器を普段と同じように使う必要はありません。限られた電力を長持ちさせるため、「連絡と情報収集に必要なスマホを優先する」など、機器ごとに充電の優先順位を決めておくことも大切です。
たとえば、スマホとタブレットの両方で同じニュースを長時間見るより、情報収集に使う端末を1台にまとめれば電力を節約できます。明かりについても、乾電池式のLEDライトや手回し式ライトを別に用意しておけば、スマホやモバイルバッテリーの電力を温存しやすくなります。
家族分の電源を準備するときは、単に「何mAhのモバイルバッテリーを買うか」だけではなく、誰が・どの機器を・どのくらい使うのかを想定することがポイントです。持ち出し用のモバイルバッテリーと、自宅用のポータブル電源などを組み合わせておけば、短時間の停電から長期化した場合まで対応しやすくなるでしょう。
停電時にスマホや充電器を安全に使うための注意点
停電すると「スマホの電池がなくなる前に充電しなければ」と焦ってしまいがちですが、普段と違う環境だからこそ安全を優先することが大切です。モバイルバッテリーや充電ケーブルが劣化していたり、水に濡れていたりする状態で無理に使用すると、故障や事故につながるおそれがあります。
また、車から充電するときや停電が復旧した直後にも注意したいポイントがあります。「充電できるから使う」のではなく、機器や周囲の状態を確認してから使用することを心がけましょう。
| 確認するもの | 注意したいこと |
|---|---|
| モバイルバッテリー | 異常な発熱・膨張・破損などがないか |
| スマホ・充電器 | 水濡れしていないか |
| ケーブル | 被覆の破れや端子の破損などがないか |
| 車 | バッテリー上がり・排気ガスに注意する |
| 停電復旧後 | 電気機器やコードなどに異常がないか確認する |
モバイルバッテリーの発熱・膨張・劣化を定期的に確認する
モバイルバッテリーは停電時に便利ですが、長期間使用しているものや保管状態がよくないものは、劣化している可能性があります。防災バッグに何年も入れっぱなしにしている場合は、災害が起きてから初めて取り出すのではなく、普段から状態を確認しておきましょう。
特に確認したいのが、本体の膨らみ、変形、破損、異常な発熱などです。以前より明らかに膨らんでいる、落下させて大きく変形している、使用中に異常な熱さを感じるといった場合は、そのまま使い続けないようにしてください。
また、モバイルバッテリーは高温になる場所での保管にも注意が必要です。直射日光が当たる場所や、夏場に高温になる車内などへ長時間放置することは避け、製品の取扱説明書に記載された保管方法や使用温度を確認しましょう。
「防災用だから使わずに新品同様で保管しておこう」と考える方もいるかもしれませんが、長期間放置していれば必要なときに正常に使えるとは限りません。残量確認と一緒に、本体に異常がないか定期的にチェックすることが大切です。
不要になったモバイルバッテリーや異常がある製品は、一般ごみとして安易に捨てず、お住まいの自治体やメーカー、回収協力店などが案内している方法を確認して適切に処分しましょう。
水濡れしたスマホや充電器はすぐに充電しない
台風や大雨を伴う災害では、スマホや充電器が雨などで濡れてしまう可能性があります。そのようなときは、バッテリー残量が少なくても濡れた状態のままケーブルを接続して充電しないようにしましょう。
スマホ本体が防水・耐水性能を備えていても、「濡れたまま充電してよい」という意味ではありません。充電端子やケーブルのコネクタ部分に水分が残っている状態で接続すると、端子の腐食や故障などにつながるおそれがあります。
スマホによっては、充電端子で液体を検知すると警告を表示し、有線充電を停止する機能を備えているものもあります。その場合は警告を無視して何度もケーブルを抜き差しせず、メーカーが案内する方法に従ってください。
充電器やモバイルバッテリーが水に浸かった場合も注意が必要です。外側が乾いて見えても、内部へ水が入っている可能性があります。特に水没した機器については、自己判断ですぐ通電することは避け、メーカーなどへ相談してください。
災害時には、防水袋やチャック付きの袋などを活用して、スマホ・モバイルバッテリー・充電ケーブルをできるだけ濡らさないように持ち運ぶことも予防につながります。
破損したケーブルや充電器を使用しない
停電時には、普段使っていなかった古い充電ケーブルを防災バッグから取り出して使用することもあるでしょう。しかし、長期間保管していたケーブルは劣化している場合があるため、使用前に状態を確認してください。
ケーブルの被覆が破れて内部が見えている、端子が曲がっている、コネクタ部分が破損しているといった異常がある場合は、無理に使用しないようにしましょう。充電器本体についても、ひび割れや変形などがないか確認します。
また、ケーブルを強く折り曲げた状態で保管したり、重いものの下に置いたりすると傷みやすくなります。防災バッグでは、ケーブルを無理に小さく折り曲げず、ほかの荷物に押しつぶされにくい場所へ収納しておくとよいでしょう。
予備の充電ケーブルを1本用意しておけば、普段使っているケーブルが断線した場合にも対応しやすくなります。家族でスマホの端子が異なる場合は、それぞれの端末に対応した正常なケーブルがあるかも定期的に確認してください。
災害時に初めて使うのではなく、防災用品を点検するときに実際にスマホとモバイルバッテリーを接続し、正常に充電できるか確認しておくと安心です。
車から充電するときはバッテリー上がりや換気に注意する
停電時には、車のUSBポートやシガーソケットを利用してスマホを充電できる場合があります。しかし、車を非常用電源のように利用するときには、安全面への注意が必要です。
まず、エンジンを停止した状態で車の電気を長時間使用すると、車の状態や使用方法によっては車載バッテリーが上がり、エンジンを始動できなくなる可能性があります。災害時には車そのものが移動手段になることもあるため、スマホを充電するために車の電力を使い切らないよう注意しましょう。
一方、エンジンをかけた状態で充電する場合は、排気ガスにも十分な注意が必要です。閉め切ったガレージなど換気の悪い場所でエンジンをかけ続けるのは危険です。排気ガスに含まれる一酸化炭素による中毒のおそれがあります。
また、大雪の際には車の周囲やマフラー付近が雪でふさがれることにも注意が必要です。排気ガスが適切に排出されない状況は危険なので、車内で待機したり電源を使用したりするときは、自治体や消防などが発信する安全情報も確認してください。
車種によってUSBポートやアクセサリーソケットの使用条件は異なります。停電が起きる前に取扱説明書を確認し、自分の車ではどの状態でスマホを充電できるのかを知っておくと安心です。
停電復旧後は電気機器の状態を確認してから使用する
停電から復旧すると、すぐに普段どおり家電や充電器を使いたくなります。しかし、地震や大雨などを伴う災害では、停電そのものだけでなく、電気機器やコード類が被害を受けている可能性があります。
たとえば、地震で家具が倒れて電源コードが傷ついていたり、水害でコンセントや電気機器が濡れていたりする場合があります。そのような状態で電気を使用するのは危険です。
停電が復旧したら、コンセント、電源コード、充電器、家電などに水濡れ・破損・異臭・異常な発熱などがないか確認してから使用しましょう。水に浸かった電気機器については、乾いたように見えても自己判断で通電しないことが大切です。
また、災害による停電では、避難のため自宅を離れることもあります。状況によっては、電気が復旧した際に倒れた暖房器具などから火災につながる「通電火災」にも注意が必要です。避難時のブレーカーの扱いについては、自治体や消防、電力会社などの案内に従ってください。
停電が終わったからといって、すぐにすべてが安全な状態へ戻るとは限りません。「電気がついたら、まず周囲と機器の状態を確認する」ことを覚えておきましょう。判断に迷う異常がある場合は使用を中止し、電力会社やメーカー、専門業者などへ相談してください。
停電・災害に備えて準備しておきたいスマホ充電グッズ
停電への備えというと食料や水、懐中電灯などを思い浮かべやすいですが、スマホの充電手段も忘れずに準備しておきたいものです。災害時のスマホは、家族との連絡や安否確認、避難情報の確認などに役立ちます。
ただし、充電器をひとつ用意するだけでは、停電が長引いたときに電気を使い切ってしまう可能性があります。そこで、「蓄えておく電源」「交換できる電源」「発電できる電源」など、異なる方法を組み合わせて備えると安心です。
まずは、自宅に次のものがそろっているか確認してみましょう。
| チェック | 準備しておきたいもの | 確認ポイント |
|---|---|---|
| □ | モバイルバッテリー | 残量・容量・出力を確認 |
| □ | 充電ケーブル | 家族のスマホすべてに対応しているか |
| □ | 乾電池式USB充電器 | 対応する乾電池の種類・本数を確認 |
| □ | 予備の乾電池 | 使用推奨期限・液漏れを確認 |
| □ | ソーラーパネル | 接続方法・対応機器を確認 |
| □ | ポータブル電源 | 残量・容量・定格出力を確認 |
| □ | 防災ラジオ・LEDライト | 電源方式と動作を確認 |
モバイルバッテリーと充電ケーブル
スマホの停電対策として、最初に準備しておきたいのがモバイルバッテリーと充電ケーブルです。モバイルバッテリーはコンパクトな製品が多く、自宅だけでなく防災バッグや普段のバッグにも入れておけます。
ただし、モバイルバッテリーだけ用意して、ケーブルを忘れないように注意しましょう。スマホとモバイルバッテリーを接続できなければ、十分な電気が残っていても充電できません。
家族でスマホの機種が異なる場合は、それぞれに必要な端子も確認します。USB Type-Cなど、家族の端末に対応するケーブルがそろっているか実際に接続して試しておくと安心です。
また、スマホを買い替えたときは防災用品の見直しも忘れないようにしましょう。以前のスマホ用に準備したケーブルが、新しいスマホではそのまま使えない場合があります。
モバイルバッテリーについても、防災バッグへ入れたまま放置するのではなく、定期的に残量や本体の状態を確認します。普段の外出にも利用し、使用後に充電しておく習慣をつければ、日常と防災を兼ねた備えにしやすいでしょう。
乾電池式USB充電器と予備の乾電池
モバイルバッテリーの予備として準備しておきたいのが、乾電池式USB充電器です。モバイルバッテリーは蓄えていた電気を使い切ると再充電が必要ですが、乾電池式なら対応する新しい乾電池へ交換することで、再び給電できるのがメリットです。
停電が長引いてコンセントからモバイルバッテリーを充電できないときに、別の方法が残っていることは安心につながります。
準備するときは、乾電池式充電器だけでなく、対応する予備の乾電池も一緒に用意してください。単3形なのか単4形なのか、何本必要なのかなど、製品の仕様を確認しておきましょう。
また、乾電池はスマホ充電器だけでなく、懐中電灯や防災ラジオなどにも使用する場合があります。家に乾電池があっても、すべてをほかの防災用品で使ってしまえばスマホ充電用が残りません。
そのため、「スマホ充電用」「ライト用」「ラジオ用」のように、必要な本数をあらかじめ考えておくとわかりやすくなります。保管中は使用推奨期限や液漏れの有無も定期的に確認しましょう。
ソーラーパネル・ポータブル電源
長時間の停電まで想定するなら、ソーラーパネルやポータブル電源も検討したい防災用品です。ポータブル電源には大容量の製品が多く、対応するUSB端子などから家族のスマホを充電できるほか、製品によってはほかの機器への給電にも利用できます。
さらに、対応するソーラーパネルを組み合わせれば、日射条件が整った環境では太陽光を利用して電力を確保できるのがメリットです。停電が長期化して、あらかじめ蓄えていた電気が少なくなったときの選択肢になります。
ただし、ソーラーパネルは天候や季節、時間帯、設置条件などによって発電量が変化します。雨や曇りの日には十分に発電できない可能性があるため、ソーラーだけに頼るのではなく、モバイルバッテリーや乾電池式充電器などと組み合わせておきましょう。
また、ポータブル電源は容量が大きいほど重くなる傾向があります。徒歩で避難するときに持ち運ぶことを想定するなら、サイズや重量も重要です。
持ち出し用にはモバイルバッテリー、自宅での停電対策にはポータブル電源というように役割を分けると、無理なく備えやすくなります。
ラジオ・LEDライト・SOS機能付き防災用品
停電時には、スマホを充電するための機器だけでなく、ラジオやLEDライトなども準備しておくと役立ちます。スマホにはニュースの確認、ライト、ラジオ・音声配信などさまざまな機能がありますが、すべてをスマホだけで行うとバッテリーの消費が増えてしまいます。
そこで、防災ラジオを情報収集に使い、夜間の明かりにはLEDライトを使うなど、スマホ以外の防災用品へ役割を分散することを考えてみましょう。スマホの電池を家族との連絡や安否確認など、優先度の高い用途へ残しやすくなります。
防災ラジオには、乾電池で動くもののほか、充電池や手回し発電など複数の電源方式に対応した製品があります。また、LEDライトやSOS機能などを備えたものもあります。
ただし、多機能であれば必ず安心というわけではありません。いざというときに操作方法がわからなければ、せっかくの機能を十分に活用できない可能性があります。
購入したら防災バッグへしまう前に、ラジオの受信方法、ライトの点灯方法、電池交換の方法などを家族で確認しておきましょう。手回し発電からスマホへの給電に対応している場合も、スマホを満充電する主力電源ではなく非常用として考えておくと安心です。
自宅・車・職場・防災バッグに分散して備える
スマホの充電用品は、すべて自宅の同じ場所へまとめておけばよいとは限りません。災害は家にいるときに起こるとは限らず、仕事中や外出中、車で移動しているときに停電や交通機関の停止に遭う可能性もあります。
そのため、可能であれば自宅・普段持ち歩くバッグ・職場・車など、生活に合わせて充電手段を分散することも考えてみましょう。
たとえば、普段のバッグには小型のモバイルバッテリーとケーブル、自宅には容量に余裕のあるモバイルバッテリーやポータブル電源、防災バッグには持ち出し用の充電器と予備ケーブル、といった分け方があります。
車をよく利用する家庭なら、車載USB充電器や対応するケーブルを用意しておく方法もあります。ただし、モバイルバッテリーなどのリチウムイオン電池を夏場の高温になる車内へ放置するのは避けてください。
職場についても、勤務先のルールに問題がなければ、小型のモバイルバッテリーや充電ケーブルを普段の通勤バッグなどに入れておくと、帰宅困難になった場合の備えになります。
また、家族それぞれがモバイルバッテリーを持っていれば、災害発生時に別々の場所にいても各自でスマホの電源を確保しやすくなります。
防災用品は、たくさん買って一か所へしまうだけでは十分とはいえません。「災害が起きたとき自分や家族はどこにいる可能性があるか」を想像して、必要な場所へ分散して備えることが大切です。
停電に備えたスマホ充電器の保管と定期点検
停電や災害に備えてモバイルバッテリーなどを購入しても、防災バッグへ入れたまま何年も確認していなければ、いざというときに使えない可能性があります。バッテリーの残量が減っていたり、スマホを買い替えてケーブルが合わなくなっていたりすることもあるからです。
防災用の充電器は、「持っているか」だけでなく「今すぐ正常に使えるか」まで確認しておくことが大切です。防災用品を見直すタイミングに合わせて、スマホの充電環境も一緒に点検してみましょう。
| 点検するもの | 確認するポイント |
|---|---|
| モバイルバッテリー | 残量・膨張・変形・異常な発熱など |
| 乾電池 | 使用推奨期限・液漏れ・必要本数 |
| 充電ケーブル | 端子・破損・現在のスマホとの互換性 |
| ポータブル電源 | 残量・本体の状態・正常に給電できるか |
| ソーラー充電器 | 発電・接続方法・ケーブル・対応機器 |
モバイルバッテリーは定期的に残量を確認する
モバイルバッテリーは、充電した状態で保管していても、時間の経過とともに残量が変化することがあります。そのため、「購入したときに満充電にしたから大丈夫」と考えず、定期的に残量を確認しましょう。
特に防災バッグへ入れているモバイルバッテリーは、普段目にする機会が少ないため注意が必要です。いざ停電が起きて取り出したときに、ほとんど電気が残っていなければ十分に活用できません。
ただし、保管時にどの程度の残量にしておくべきか、どのくらいの間隔で充電すべきかは製品によって異なります。長期保管についてメーカーから指定がある場合は、取扱説明書に従ってください。
残量と一緒に、本体の状態も確認します。以前より膨らんでいる、変形している、破損している、使用時に異常な発熱やにおいがあるなど、気になる変化が見られた場合は使用を続けないようにしましょう。
また、保管場所にも注意が必要です。直射日光が当たる場所や高温になりやすい場所を避け、メーカーが指定する環境で保管してください。特に夏場の車内など高温になる場所へモバイルバッテリーを長時間放置するのは避けましょう。
普段から使用しているモバイルバッテリーなら、外出から帰ったときに残量を確認する習慣をつけると、防災用品としても管理しやすくなります。
乾電池は使用期限・液漏れをチェックする
乾電池式のスマホ充電器を用意している場合は、予備の乾電池も定期的に確認しましょう。乾電池には使用推奨期限があり、長期間保管している間に期限が近づいていることがあります。
確認するときは、使用推奨期限だけでなく、液漏れや変形などの異常がないかもチェックします。異常が見られる乾電池は使用せず、自治体などが案内する方法に従って処分してください。
また、防災用の乾電池はスマホ充電器だけでなく、懐中電灯やラジオにも使うことがあります。「単3形の電池をたくさん備蓄しているから大丈夫」と思っていても、機器によって必要な電池の種類や本数が違えば使えません。
そこで、乾電池式充電器、ラジオ、ライトなどを並べて、必要な乾電池の種類と本数を一度確認しておくと安心です。
保管方法についても製品の表示やメーカーの注意事項を確認しましょう。乾電池式充電器を長期間保管する場合は、電池を機器へ入れっぱなしにするのではなく、充電器と予備電池を一緒に管理しながら、使用時にセットできるようにしておくとわかりやすくなります。
充電ケーブルと端子がスマホに対応しているか確認する
意外と見落としやすいのが充電ケーブルです。モバイルバッテリーに十分な電気が残っていても、スマホへ接続できるケーブルがなければ充電できません。
特に注意したいのが、スマホを買い替えたときです。以前使っていたスマホと新しいスマホでは端子が異なる場合があり、何年も前に防災バッグへ入れたケーブルが現在のスマホでは使えないことがあります。
そのため、スマホを買い替えたら、防災バッグの充電ケーブルも一緒に確認することを習慣にしましょう。家族で異なるスマホを使用している場合は、それぞれの端末を充電できるか実際に試しておくと安心です。
また、端子の種類が合っているだけでは十分ではありません。ケーブルの被覆が破れていないか、コネクタが変形していないかなども確認します。破損や著しい劣化が見られるケーブルは使用を避けましょう。
さらに、ポータブル電源やモバイルバッテリー本体を充電するためのケーブルも必要です。「スマホへ給電するケーブルはあるけれど、モバイルバッテリーを充電するケーブルがない」ということがないよう、一式で確認してください。
ケーブル類を小さな袋などへまとめておき、「どの機器に使うケーブルなのか」をわかるようにしておくと、暗い停電時や慌ただしい避難時にも探しやすくなります。
ポータブル電源やソーラー充電器は定期的に動作確認する
ポータブル電源やソーラー充電器も、購入して保管しているだけでは十分ではありません。停電が起きてから初めて使用すると、接続方法がわからなかったり、必要なケーブルが見つからなかったりする可能性があります。
ポータブル電源は定期的に残量を確認し、実際にスマホなどを接続して給電できるか試しておきましょう。保管時の適切なバッテリー残量や充電頻度については製品によって異なるため、必ず使用している製品の取扱説明書を確認することが大切です。
ソーラーパネルも同様です。晴れた日に実際に広げ、どの端子へ接続するのか、ポータブル電源やモバイルバッテリーと組み合わせられるのかなどを確認してみましょう。
ソーラー発電は天候、季節、時間帯、パネルの向きなどによって発電量が変わります。実際に試しておけば、「置くだけですぐ満充電になるわけではない」ことも理解しやすくなり、災害時の現実的な使い方をイメージできます。
また、家族の中でひとりだけが使い方を知っている状態も避けたいところです。災害発生時にその人が自宅にいるとは限りません。家族の誰でも基本的な接続や操作ができるよう、一度一緒に使ってみると安心です。
防災用品の点検日を決めている家庭なら、そのタイミングでスマホ充電用品も一緒に確認すると忘れにくくなります。モバイルバッテリーの残量、乾電池、ケーブル、ポータブル電源、ソーラーパネルまでひと通り確認し、「今日停電しても使える状態か」をチェックしておきましょう。
停電時のスマホ充電に関するよくある質問
停電や災害に備えてスマホの充電方法を調べていると、「モバイルバッテリーは何mAh必要?」「車から充電しても大丈夫?」「ソーラー充電器は雨の日も使える?」など、さまざまな疑問が出てきます。
ここでは、停電時のスマホ充電について特に気になりやすい疑問をまとめました。いざというときに迷わないよう、停電が起こる前に確認しておきましょう。
停電中でもスマホを充電できますか?
はい。家庭のコンセントが使えなくても、別の電源を確保できればスマホを充電できます。
代表的なのは、あらかじめ充電しておいたモバイルバッテリーです。そのほか、乾電池式USB充電器、ポータブル電源、車のUSBポートやシガーソケット、充電が残っているノートパソコンなどから給電できる場合があります。
停電が長引いた場合には、日射条件が整えばソーラーパネルを利用して電力を確保する方法もあります。手回し発電に対応した防災ラジオなどから給電できる製品もありますが、スマホを十分に充電するには時間と労力がかかる場合があるため、主な充電方法というより非常用として考えておくとよいでしょう。
大切なのは、停電してから充電方法を探すのではなく、普段から2種類以上の方法を用意しておくことです。モバイルバッテリーを基本にして、乾電池式充電器などを予備として準備すると、ひとつの電源を使い切った場合にも対応しやすくなります。
モバイルバッテリーは何mAhあれば安心ですか?
必要な容量は、スマホのバッテリー容量や台数、何回充電したいかによって変わるため、「○mAhあれば必ず安心」と一律には決められません。
たとえば10,000mAhや20,000mAhのモバイルバッテリーがありますが、表示されている容量をそのまますべてスマホへ移せるわけではありません。実際の充電では電圧変換などによる損失が発生するためです。
そのため、「10,000mAhのモバイルバッテリーなら、5,000mAhのスマホを必ず2回満充電できる」といった単純計算は避けましょう。メーカーが具体的なスマホを使った充電回数の目安を掲載している場合は、それも参考にしてください。
1人で使用する場合と4人家族で共有する場合でも、必要な容量は大きく変わります。防災用なら、「スマホの台数×必要な充電回数」を考えたうえで、変換による損失も考慮して余裕を持たせることがポイントです。
また、大容量1台だけに頼るのではなく、家族それぞれが持ち出せるよう複数のモバイルバッテリーへ分散する方法もあります。
車からスマホを充電しても大丈夫ですか?
車の仕様に合ったUSBポートやシガーソケット用USB充電器などを利用すれば、車からスマホを充電できる場合があります。停電で自宅のコンセントが使えないときの充電手段のひとつになります。
ただし、車の電力も無限ではありません。エンジンを停止した状態で電気を長時間使用すると、車種や車載バッテリーの状態、使用状況などによってはバッテリーが上がり、エンジンを始動できなくなる可能性があります。
反対に、エンジンをかけて充電する場合は排気ガスに注意が必要です。閉め切ったガレージなど換気の悪い場所でエンジンをかけ続けないでください。一酸化炭素中毒につながる危険があります。
大雪のときには、マフラー周辺が雪でふさがれていないかなど、周囲の安全にも十分注意が必要です。
また、車によってUSBポートやアクセサリーソケットを利用できる条件は異なります。災害が起こる前に車の取扱説明書を確認し、自分の車で安全に充電する方法を把握しておきましょう。
手回し充電器だけでスマホを満充電できますか?
手回し充電だけでスマホを満充電にすることは、現実的には大きな時間と労力が必要になる場合があります。そのため、スマホの主な充電方法ではなく、ほかの電源がなくなったときの非常用として考えるのがおすすめです。
中部電力ミライズが公開している実験では、バッテリー容量2,900mAhのスマホと定格出力4.2V・500mAの手回し充電器を使い、30分間に4,000~5,000回転させたところ、スマホの充電量は1%増えたという結果でした。
これは特定の機器と条件で行われた実験なので、すべての手回し充電器が同じ結果になるわけではありません。しかし、手回し発電だけで大容量のスマホを満充電することを前提にしないほうがよいことはわかります。
手回し発電機能付きの防災ラジオなら、ラジオによる情報収集やLEDライトなどにも利用できる製品があります。そのため、スマホ用のモバイルバッテリーを別に準備し、手回し機能は最後の予備として備えておくとよいでしょう。
ソーラー充電器は曇りや雨の日でも使えますか?
曇りの日でも発電できる製品はありますが、晴天時より発電量が少なくなり、充電に時間がかかる可能性があります。雨天時についても製品や日射条件によって状況が異なるため、安定した電源としてソーラーだけに頼るのは避けたほうがよいでしょう。
ソーラー発電は、天候だけでなく季節、時間帯、パネルの大きさ、太陽に対する向きなどによっても発電量が変化します。「ソーラーパネルを持っていれば、どんな天気でもスマホを充電できる」と考えないことが大切です。
また、ソーラーパネル自体が防水とは限りません。雨の中で使用できるかどうかは製品ごとの防水・防塵性能や取扱説明書を確認してください。
防災用としては、晴れている昼間にソーラーパネルで発電し、対応するポータブル電源やモバイルバッテリーなどへ電気を蓄えておくという使い方も考えられます。
ソーラーは長期停電に備えるうえで便利な選択肢ですが、天候に左右されることを考え、モバイルバッテリーや乾電池式充電器など別の方法も準備しておきましょう。
停電が数日続いた場合はどうやってスマホを充電すればいいですか?
停電が数日続く場合は、ひとつの充電方法だけに頼らず、複数の電源を順番に活用することが大切です。
まずは、あらかじめ充電しておいたモバイルバッテリーやポータブル電源を利用します。それらの残量が少なくなった場合は、予備の乾電池と乾電池式USB充電器、日射条件がよければソーラーパネルなど、別の方法へ切り替えます。
自治体や避難所などから充電場所に関する案内が出ている場合は、最新の情報を確認してください。ただし、大規模災害では充電できる場所が混雑したり、利用時間が限られたりする可能性もあります。自分でも最低限の電源を準備しておくことが大切です。
そして、長期停電では「充電すること」と同じくらいスマホの電池を使いすぎないことが重要です。低電力・省電力モードを利用し、画面の明るさを下げ、動画やゲームなど緊急性の低い用途を控えましょう。
家族が複数のスマホを持っている場合は、情報収集に使う端末を決めたり、充電の優先順位を決めたりする方法もあります。防災ラジオや乾電池式LEDライトを併用すれば、情報収集や明かりをスマホだけに頼らずに済みます。
「モバイルバッテリー+乾電池式」「ポータブル電源+ソーラーパネル」のように性質の異なる電源を組み合わせ、さらに節電することが、停電が長期化したときの基本的な考え方です。
まとめ|停電時のスマホ充電は複数の方法を準備しておこう
停電してコンセントが使えなくなっても、モバイルバッテリーや乾電池式充電器、車、ノートパソコン、ポータブル電源、ソーラーパネルなどを利用してスマホを充電できる場合があります。
なかでも、普段から使いやすく持ち運びもしやすいモバイルバッテリーは、停電・災害への備えとして準備しやすい充電方法です。ただし、蓄えていた電気を使い切れば充電できなくなるため、乾電池式充電器やポータブル電源、ソーラーパネルなど、性質の異なる方法も組み合わせておくと安心です。
また、充電器を用意するだけでなく、スマホの電池を長持ちさせる工夫も大切です。停電が起きたら低電力・省電力モードを利用し、画面の明るさや不要な機能を見直して、連絡や情報収集に必要な電池をできるだけ残しましょう。家族で充電の優先順位や連絡方法を決めておくことも役立ちます。
防災用の充電器を選ぶときは、容量(mAh・Wh)だけでなく、USB Type-Cなどの端子、出力、ポート数、重さなども確認してください。家族で使用する場合は、人数やスマホの台数、必要な充電回数を考え、ひとつの大容量バッテリーだけに頼らず複数の電源へ分散する方法もあります。
そして忘れたくないのが、「買って保管したら終わり」ではないことです。モバイルバッテリーの残量や膨張・変形などの異常、乾電池の使用推奨期限、ケーブルの破損、現在のスマホに端子が合っているかなどを定期的に確認しましょう。ポータブル電源やソーラーパネルも、ときどき実際に使って動作を確認しておくと安心です。
災害はいつ起こるかわかりません。まずは今日、手元にあるモバイルバッテリーの残量と充電ケーブルを確認するところから始めてみてください。「充電する方法を複数用意する」「残った電池を大切に使う」「定期的に点検する」という3つを意識して、停電が長引いた場合にもスマホを活用できるよう備えておきましょう。

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