寡婦(夫)控除とは 対象となる年収や扶養の状態と控除額について
夫婦で苦難を乗り越えようと頑張っている矢先にパートナーを亡くしたり離婚したりすると、意気消沈したり、頼る人を無くしたりで、その後の生活が大変になります。
そんなときは、誰かに少しでも助けてもらいたいと思いますよね。
実はそういうときのためにある制度があるんです。
寡婦(夫)控除とは、対象となる年収や扶養の状態と控除額について紹介します。
寡婦(夫)控除とは
寡婦とは夫と離婚あるいは死別した妻のことを言い、寡夫とは妻と離婚あるいは死別した夫のことを言います。
そういうような状態になった時に、ある一定の条件を満たす場合は、税制では、その後の生活の大変さを考慮して、所得控除の制度が設けられています。
ただし、離婚の場合は再婚をしていないことが条件として追加されていますし、夫や妻の生死が明らかでない場合(船や飛行機の事故などで、3ヶ月以上生死が不明の場合)も死別したということに含めた内容になっています。
そして、その内容は、男性の方が経済的に恵まれているとの判断からか、男性のほうがやや厳しい内容になっています。
対象となる年収や扶養の状態
所得控除を受けるにあたって、どんな条件があるのかと言うと、
年収とか扶養親族の条件があるんです。
寡婦控除の場合(女性側)
1)夫と死別したり離婚した後、再婚をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で扶養親族または生計を一にする子がいる場合
この場合の子は、総所得金額等が38万円以下で、他人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
2)夫と死別したり離婚した後、再婚をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人で、合計所得金額が500万円以下の人の場合
女性の場合は、1)か 2)のいずれかであれば寡婦控除の対象になります。
なお、女性の場合は1つ上の控除が受けられるようになっています。
その控除は特定寡婦控除(特別の寡婦)というものです。
1.夫と死別したり離婚した後、再婚をしていない人又は夫の生死が明らかでない一定の人。
2.扶養親族である子がいる場合
3.合計所得金額が500万円以下であること。
上記3つを満たせば寡婦控除の(特別の寡婦)の対象になります。
*夫とは、民法上の婚姻関係であることが必要です。籍を入れていないと控除はもらえません。
一方、すこし厳しめなのが男性の方です。
寡夫控除の場合(男性側)
1)妻と死別したり離婚した後、再婚をしていない人又は妻の生死が明らかでない一定の人であること。
2)生計を一にする子がいること。
この子の場合も、総所得金額等が38万円以下で、他の人の控除対象配偶者や扶養親族になっていない人に限られます。
3)合計所得金額が500万円いかであること。
この3つを同時に満たすことが寡夫控除が受けられる条件となります。
*妻とは、民法上の婚姻関係であることが必要です。籍を入れていないと控除はもらえません。
いずれの条件も納税者本人が、原則としてその年の12月31日時点での状況がそうであることが必要です。
控除額について
所得税の控除と住民税の控除では控除額に違いがあります。
所得税の控除額は
区分 | 控除額 |
一般の寡婦 | 27万円 |
特別の寡婦 | 35万円 |
一般の寡夫 | 27万円 |
住民税の控除額は
区分 | 控除額 |
一般の寡婦 | 26万円 |
特別の寡婦 | 30万円 |
一般の寡夫 | 26万円 |
場合によれば女性の方が所得税が8万円、住民税が4万円多く控除がもらえるんですね。
まとめ
夫や妻と死別したり離婚した後、再婚をしていない人又は夫や妻の生死が明らかでない一定の人は、それぞれ一定の条件を満たせば寡婦控除や寡夫控除がうけられます。
その条件は年収であったり、扶養親族であったり、生計を一にする子であったり、扶養親族である子であったりします。
控除の条件は男性の方がやや厳しくなっています。
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