寄付金控除とは 計算の仕方と確定申告のやり方について
寄付金控除と言えば、良く知られているものでふるさと納税というものがありますが。
最近、寄付をすることが増えたので、寄付金控除のことを調べました。
すると、対象となる寄付というのが意外に少ないことが判明しました。
用語も難しいのが多いので、できるだけわかりやすくしたいと思い、寄付金控除についてまとめました。
Contents
寄付金控除とは
世の中を良くしたいとの想いで寄付をする、それに応えるための寄付金控除です、特定の個人や私的な団体などに限定して利益をもたらさないようにしなければなりません。
国税庁のホームページで「納税者が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対し、「特定給付金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます」と寄付金控除について書かれています。
そして補足でこうも書かれています「なお、政治活動に関する寄付金、認定NPO法人等に対する寄付金及び公益社団法人等に対する寄付金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができます。」
国税庁なので、とっつきにくい難しい言葉が並びます。
簡単に言えば、きっちりとした決められた対象に対して寄付をした場合に所得控除(一部に対しては税額控除とのどちらか)ができるということですね。
特定公益増進法人、特定給付金、認定NPO法人、公益社団法人、とはなんだろう?
1)特定公益増進法人
読んで字のごとく、”公益の増進に著しく寄与する特定の法人”のことで、公共法人、公益法人などのうち教育または科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献、その他公益の増進に著しく寄与するものとして、所得税法第78条及び所得税法施行令第217条、法人税法第37条及び法人税法施行令第77条で定められている次のようなところです。
1.独立行政法人
大学、博物館、病院、研究機関など、国民生活や社会経済の安定などの公共ですることが必要とされる事務あるいは事業で、特に国が直接するよりも、独立して運営したほうが効率的であるものを分離独立させた法人
2.地方独立行政法人のうち、試験研究を目的とする法人及び病院もしくは介護老人保健施設の設置・管理を主たる目的とする法人
3.自動車安全運転センター、日本司法支援センター、日本私立学校振興・共済事業団及び日本赤十字社
4.公益財団法人および公益社団法人
5.私立学校法第3条に規定する(一条校を運営する)学校法人及び同法第64条第4項の規定により設立された(専修学校を運営する)法人
6.社会福祉法人
老人ホームやデイサービスなどの、社会福祉事業を行うことを目的に、社会福祉法第22条で定義され設立された法人
7.更生保護法人
犯罪を犯したりなどして、すぐに自立更生ができない人を助けたりする更生保護事業を営む目的で、更生保護事業法第10条で定義され設立された法人
2)特定寄付金
寄付金控除の対象になる寄付金(学校の入学に関するもの、政治資金規正法に違反するもの、寄付者に特別の利益がもたらされるものは除外される。)で以下のものがあります。
1.国または地方公共団体に対する寄付金
2.指定寄付金
公益社団法人、公益財団法人、その他の公益を目的とする事業を行う法人または団体に対する寄付金のうち、広く一般に募集され、公益性と緊急性が高いと財務大臣が指定したもの。
3.特定公益増進法人に対する寄付金
4.特定公益信託の信託財産とするため支出した金銭
公益の増進(学術および科学技術の振興・児童または青少年の健全な育成・地域社会の健全な発展など)に著しく寄与する特定公益信託のためのものに限定。
5.政治活動に関する寄付金
6.認定NPO法人に対する寄付金
7.特定新規中小会社により発行される特定新規株式を取得するのに要した金額。(1千万円を限度)(寄付金控除以外の優遇措置もあり選択が可能)
特定新規中小会社とは、設立3年未満のベンチャー企業で、経済産業大臣の認定を受けるなどの一定の要件を満たしているもの。支援が必要と思える要件になっています。
3)認定NPO法人
認定特定非営利活動法人とも言い、行政や企業にも属さず自由な社会貢献活動を行うものとして都道府県や政令市などから認められた市民団体で「一定の基準を満たしている」と認定されたもの。
4)公益法人(公益社団法人や公益財団法人)
一般社団法人や一般財団法人が公益法人認定法により公益性の認定を受けてできるものです。
学術および科学技術の振興・児童または青少年の健全な育成・地域社会の健全な発展などを目的とする事業に当てはまっている必要があり、認定審査は結構厳しいらしいです。
福利厚生は公務員準拠の場合が多く、利益を追求する組織ではなく、官庁からの天下りが多い法人になります。
計算の仕方
特定寄付金にあたる寄付金を、ある年の1月1日から12月31日までの間に総額でX円したとします。
そして、その年の総所得金額等がY円だったとすれば、次の式(AかB)の低い方の金額が寄付金控除額になります。
(総所得金額等=純損失・雑損失の繰越控除後の事業所得+不動産所得+利子所得+配当所得+給与所得+雑所得+一時所得+総合譲渡所得+土地建物の譲渡所得+株式等の譲渡所得等+先物取引にかかる雑所得等+山林所得+退職所得)
A:X-2000
B:Yx0.4
上記で判明した寄付金控除額を課税対象になる所得から他の所得控除と一緒に差し引くことができます。
年収500万円で他の所得控除が合計で270万円で、寄付金控除額が48000円だったとすると、課税対象になる所得は225万2千円になり、48000円分の税率が安くなります。
また、対象が限定されるのですが、税額控除というのも選択できる場合があります。(ただし、その年の所得税額の25%が限度になります。)
年収の多い場合は所得控除が有利になることがあるので、選択制にしています。(所得控除額が増えて累進課税の税率が変わるときがある)
以下の場合は税額控除を選択できます。(所得控除との選択による)
1)政党等寄付金特別控除
政党や政治資金団体に対する寄付の場合は上記で算出した寄付金控除額の30%を所得税額より控除する。(100円未満切り捨て)
2)認定NPO法人等寄付金特別控除
認定NPO法人等の場合は上記で算出した寄付金控除額の40%を所得税額より控除する。(100円未満切り捨て)
3)公益社団法人等寄付金特別控除
公益社団法人等の場合は上記で算出した寄付金控除額の40%を所得税額より控除する。(100円未満切り捨て)
一部の寄付金では住民税の控除もできます、今日では「ふるさと納税」として拡充されています。
ふるさと納税では、所得税控除額も含めて住民税から控除されます。
参考記事⇒ふるさと納税とは その仕組みと限度額の計算の仕方について
上記で求めた寄付金控除額を、住民税の所得割の20%に対応する額まで住民税から控除できる。
以下の場合で使えます。
・都道府県、市区町村または特別区に対する寄付金
・社会福祉法に規定する共同募金会または日本赤十字社に対する寄付金(納税者の住所地に事務所があるもの限定)
・住民の福祉の増進に寄与する所得税法第七十八条第二項第二号および第三号に掲げる寄付金(都道府県の条例で定めるもの)
確定申告のやり方
今は、国税庁のホームページにインすれば、簡単に確定申告の書類が作れます。
そして、そのまま、所轄の税務署にデーターを送付することもできるのでいいですね。(e-tax)
私の場合は、家で印刷して税務署に持ち込んでいますが。
データー送付は楽ですよ。
国税庁 確定申告書等作成コーナーがあるのでインします。
国税庁 確定申告書等作成コーナー
https://www.keisan.nta.go.jp/kyoutu/ky/sm/top#bsctrl
「作成開始」をクリックすればポップアップが立ち上がるので、
「e-taxで提出」か「印刷して書面提出する」のどちらかを選択(クリック)します。
事前確認後「利用規約に同意して次へ」をクリック。
該当年度の申告書等の作成を選択(クリック)します。
「所得税」を選択(クリック)します。
所得の内容が合致しているところを選択(作成開始をクリック)します。
「申告書の作成をはじめる前に」を確認して「次へ」を選択(クリック)します。
生年月日を入力して「入力終了(次へ)」を選択(クリック)します。
「所得の種類選択」で該当するものにチェックを入れて「入力終了(次へ)」を選択(クリック)します。
「給与所得の内容選択」で該当するものにチェックを入れて「入力終了(次へ)」を選択(クリック)します。
以下それぞれデーターを入力して「入力終了(次へ)」を選択(クリック)します。
「収入・所得金額の入力」が終われば「入力終了(次へ)」を選択(クリック)します。
次の画面で地震保険料控除の下に「寄付金控除」の欄があるので「入力する」をクリックします。
それぞれの内容を正確に入力処理して、「次へ進む」を選択(クリック)します。
最も最適な控除(所得控除か税額控除)を選択して表示されます。
確定申告時の添付書類はそれぞれであります。
・政治活動に関する寄付をした場合は、選挙管理委員会などの確認印のある「寄付金(税額)控除のための書類」。
・一定の特定公益増進法人に対する寄付では、寄付金の領収書、その法人が適格であることの証明書の写し。
・特定公益信託の信託財産に対する寄付では、寄付金の領収書、その信託が適格であることの認定書の写し。
・その他の寄付では、寄付金の領収書。
寄付金控除に関するところは以上です。
ふるさと納税に関してはこちら↓
参考記事⇒ふるさと納税とは その仕組みと限度額の計算の仕方について
まとめ
社会をより良くするために、公的なものに寄付をすることは素晴らしいことです。
余裕のある人は、ぜひともしてほしいですね。
寄付対象は限定されていて、年収に応じて寄付金控除の上限があります。
寄付金控除を受けるために良く調べてからしましょう。
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