上場株式等の配当控除について、それぞれの配当控除率、日本株ETFとは
上場株式等では、申告不要制度や申告分離課税、総合課税のどれかを選択することができます。
より有利に課税処理をするには、それぞれの情報を熟知していることが必要です。
そのための判断材料の1つとして、どんなものがどれくらいの配当控除の対象になっているのかを示します。
確定申告をするかどうかの判断材料にしてください。
上場株式等の配当控除率
上場株式等とは「上場株式、公募株式投信、特定公社債、公募公社債投信など、特定口座の対象となる金融商品」となります。
配当控除とは、総合課税で確定申告する際に適用を受けることができるものです。
上場株式等の中で配当控除の適用があるのは、日本株、日本株ETF(普通分配金のみ)、株式投資信託です。
一部の株式投資信託では適用されない場合がありますから、最終的には目論見書などで確認してください。
日本株と日本株ETFの配当控除率
課税所得金額 | 所得税 | 住民税 |
1000万円以下 | 10% | 2.8% |
1000万円超 | 5% | 1.4% |
株式投資信託の収益分配金の配当控除率(課税所得金額1000万円以下)
資産割合 | 外貨建資産50%以下 | 外貨建資産50<≦75% | 外貨建資産75%超 |
非株式資産50%以下 | 所得税5.0%、住民税1.4% | 所得税2.5%、住民税0.7% | なし |
非株式資産50<≦75% | 所得税2.5%、住民税0.7% | 所得税2.5%、住民税0.7% | なし |
非株式資産75%超 | なし | なし | なし |
株式投資信託の収益分配金の配当控除率(課税所得金額1000万円超)
資産割合 | 外貨建資産50%以下 | 外貨建資産50<≦75% | 外貨建資産75%超 |
非株式資産50%以下 | 所得税2.5%、住民税0.7% | 所得税1.25%、住民税0.35% | なし |
非株式資産50<≦75% | 所得税1.25%、住民税0.35% | 所得税1.25%、住民税0.35% | なし |
非株式資産75%超 | なし | なし | なし |
株式投資信託では内容によって配当控除率が違ってくるし、海外株式や海外債券、REITなどは配当控除の対象から外れていることも注意する点です。
確定申告をすべきかどうか適切な判断をするには必要な情報ですね。
日本株ETF
日本株ETFとは「特定株式投資信託のうち特定外貨建等証券投資信託以外のもの」とされています。
ETFは Exchange Traded Fund(上場投資信託)の略語です。
日銀が日本のデフレ脱却を目指し、量的・質的金融緩和のひとつとして2013年4月に始めています。
日本株ETFは株と同じように、リアルタイムで取引が可能です。
比較的少額で投資が可能で証券会社で取引ができます。
そして上場廃止や繰上償還のおそれもあります。
価格が急落するおそれがあることを認識しましょう。
上場株式なので、取引のたびに手数料がかかりますし、また投資信託ほどではないですが信託報酬もかかります。
まとめ
日本株と日本株ETFは同じ配当控除を受けることができます。
株式投資信託では、非株式資産の比率や外貨建資産の比率により配当控除の可否や程度が違います。
外国株や外国債券、REITなどは配当控除の対象に入っていないので注意ください。
適切な対応をして有利に税金を収めましょう。
参考記事⇒株の配当を受け取る 有利な課税方法の選択とその詳細について
参考記事⇒株の配当を受け取る 大口株主と非上場株式の場合とその課税処理について
参考記事⇒上場株式等の配当および譲渡所得等で、有利な課税方式を所得税や住民税で自由に選択できるようになってます。2017年度税制改正より。
参考記事⇒積立NISAとは 対象となる投資商品はなにがある 普通のNISAとの差は
参考記事⇒ジュニアNISAとは 口座開設するメリットとデメリットについて
参考記事⇒上場株式の譲渡損失があるとき 申告すべき場合と必要がない場合とは
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参考記事⇒マイナス金利下での株主優待について考えると(例:マクドナルドについて)
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